第59話

ただ過ぎてゆく日を見送ることは難しいことじゃない。


ずっとそうやってきた。

私にとってはそれが日常だった。




だけど、自分がした事へのツケは必ず巡ってくる。



黒に染まったこの手。

例え純白の布で拭っても、拭いきれるはずはない。




お兄ちゃんと過ごした時間は渇きを潤してくれた。


金田に逮捕状が出たと聞いた日から圧し掛かっていた、重い現実から心を放ってくれた。




それは束の間の幻想に過ぎなくて。


今になってまたその重圧から逃れることが出来ず苦しむのは、当然と言えば当然だ。




消せない現実が夢の中にまでも押し寄せていた。



足元には深くて暗い闇。

私は泥濘にはまったまま抜け出せず、もがきもせず。

静かにその時を待つだけ。



そんなギリギリの精神状態でも、平然と地に足をつけた生活が出来たのは、譲が夜の街から私を遠ざけようと手を引いたから。





譲の迷いない心が私を繋いだ。

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