第45話

「ネックレスまだ持ってたんだな。重荷になってるんじゃないかって、お前に渡したこと何度も後悔したよ」


「そんなことないっ、重荷なんて……、これがあったから、約束があったから、私は一人で平気だったのに」




お兄ちゃんとの約束だけが希望だった。

お兄ちゃんが消えた生活の中で、それしか光を見出せなかった。



なのに―――――、



「パパもママも変わらない。お兄ちゃんが出ていったことにも、私の孤独にも目を向けようとしなかった」



何も見ていない。

私が全部気付いてることも、泣いたことも。   



「お兄ちゃんが居ないのに、家の中は何一つ変わらないなんておかしいっ―――…」



違和感しかない今の家。


思いをぶちまける私を見て兄はどんな風に感じたんだろう。

譲の瞳にはどんな風に映っているんだろう。



冷静に考えながらも溢れた感情は止まらなかった。



「もう耐えられない……。家に居場所なんて無かった。あんなの家族じゃない。私はずっとずっと辛かった」



感情の無い人間だと言われてきた。

自分でもそうだと思ってた。


お兄ちゃんが消えた日から閉じた心は開かず。

痛いも、悲しいも、嬉しいも、楽しいも。

全てを封印してしまってたような気がする。



譲と出逢ったあの日まで、他人の想いも、自分の想いにも。

決して目を向けようとはしなかった。



だけど今言ったのは紛れもなく本音。


6年間ずっと封印してきた。

気づかないふりをしてきた。


私の想い。

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