人類みな高分子だった件
まみ。
私って高分子なんですか?みなさんも高分子だったんですか?
Aさん「じゃあ、周りにあるもののうち、「これは絶対に高分子じゃない!」ってものを指差してみてください。」
Bさん「えっ?高分子って、そんなに身近に多いんですか?」
Aさん「はい。多いんですよ。最初は何でもいいですよ。」
Bさん「じゃあ、私ですか?」
Cさん「いきなり高分子を選んじゃったー!」
生物系の学生のCさんが、そう答えて爆笑する。
Bさん「えっ?私、高分子なんですか?」
Aさん「結構高分子の割合、多いですね。」
Bさん「もしかしてDさんも高分子ですか?」
Dさん「はい。高分子です。」
同じく高分子を研究しているDさんが、そう答える。
Aさん「答え方(笑)。「はい。高分子です。」はおかしいでしょ(笑)。」
Bさん「そうすると、多分Eさんも高分子ですね?」
Eさん「いえ。あのそういう意味じゃなくて…。」
高分子の研究に関わっているEさんが、そう否定する。
Bさん「Cさんは高分子ですか?」
Cさん「はい。高分子です。」
Aさん「段々「学生です」みたいな感じになっちゃってますよ。」
Aさんもこの流れを楽しんでいる。
Bさん「Fさんは絶対高分子じゃないでしょう?」
Fさん「私も高分子です。」
物理系の研究をしているFさんが、そう答える。変な空気を読んでしまったのかもしれない。
Bさん「さすがに高分子の研究をしているAさんご本人は、高分子ですよね?」
Aさん「じゃあ、みんなに合わせて「はい」と答えておきます。」
Bさん「みんな高分子なんですね。全く知らなかったなー。」
Aさん「人はみんな高分子で構成されているんです。」
Cさん「つまり人類みな高分子なんです。」
Bさん「Gさん。あなたも高分子らしいですよ?」
Gさん「私は自分でも、高分子かどうかわからないんですよ。」
料理人のGさんは答える。
Cさん「このタイミングで、「自分でもわからない」は面白すぎ。」
Cさんが、また爆笑する。
Bさん「Aさんが言うには、Gさんも高分子らしいです。」
Gさん「高分子って人のことだったんですか?」
Aさん「人は高分子でできているんです。」
Gさん「Aさん。今日の参加者の中で私が一番付き合い長いのに、今更聞くのは本当に申し訳ないです。もしかして私って高分子だったんですか?」
Aさん「この流れだと、Gさんも高分子ですね。」
Gさん「私は、そんな資格を取った覚えがなくて…。」
Cさん「ずっと資格か何かの話だと思ってたんだー!」
Cさんも楽しそうだ。
Aさん「もしかして高分子って、弁護士みたいなものだと思ってたんですか?」
Bさん「Gさんも知らないって言ってますよ?みなさん本当に高分子の資格、持ってるんですか?」
Gさん「Aさんが持ってるって聞いたときには、相当取るのが難しいんだろうなって思ってたんですけど…。」
Aさん「資格とかじゃないんで…。」
Cさん「みんな生まれたときから、持ってるんですよ。」
Eさん「もうちゃんと説明してあげよ?」
Aさんもこの流れを楽しんでいるが、そろそろEさんだけは怒り出しそうだ。
Aさん「人の体には、たんぱく質とかDNAとかあるじゃないですか?たんぱく質とかDNAって、みんな高分子なんです。」
Gさん「たんぱく質なら、私もよく料理に使いますよ。」
Aさん「そうです!それが高分子です!」
Gさん「それにDNAが多い食材も、ちゃんと選んでいますよ。」
Aさん「選んでいるんですか?」
Gさん「DNAって、魚にたくさん入っているやつですよね?」
Cさん「それはDHAだから(笑)。」
Gさん「DNAとDHAって、違うものなんですか?」
Cさん「そもそも名前が違うから(笑)。」
Aさん「でも確かに魚にも、DNAはありますね(笑)。」
Gさん「やっぱりDNAも摂取した方が、健康にいいですか?」
Cさん「DNAは摂取するものじゃないから(笑)。」
Aさん「ともかく、まずは身の回りにあるもので、「これは高分子」「これは違う」ってのをやりたかったんですよ。」
Gさん「ありがとうございます。たくさん高分子があるんだなってわかりました。」
Aさん「はい。でも途中からBさんは面白くなって、人ばっかり選んじゃったんです。」
Bさん「Hさんはどうですか?」
Hさん「僕は高分子を知ってますよ。」
技術者のHさんは、そう話す。かなり自信がありそうだ。
Aさん「高分子をご存知なんですか?」
Hさん「今度は僕が高分子を選んでいいですか?」
Aさん「ぜひぜひ。」
Hさん「えっと…。」
辺りをキョロキョロし始めるHさん。そしてHさんは、遠くの上の方を指差す。
Hさん「あれが高分子です。」
Cさん「いやいや、どれ?」
Aさん「そんなに遠くじゃなくても、もっと近くにも高分子はありますよ。」
Hさん「そうなんですか?全く気がつかなかったな。」
Bさん「Hさん。私も驚いてますけど、なんと実はあなたが高分子なんですよ。」
Hさん「えっ?僕もそうなんですか?知らなかったー。」
Cさん「今の流れで知らなかったんだー?」
Cさんの爆笑は止まらない。
Bさん「Aさん。どういうことなんですか?Hさんたちは「全く身に覚えがない」って言ってますよ?」
Aさん「どうやら自分でも知らないって方は、多いみたいですね。」
Iさん「ってことは、私も高分子ですか?」
社会学部のIさんは聞く。
Aさん「今まで一体何を聞いてたんですか?そういう流れでしょ。」
なぜか怒られるIさん。かなり出遅れてしまったIさんも、おそらく高分子の仲間に入りたかったのだろう。
Eさん「人以外の高分子を説明してあげて。」
EさんはAさんに注意する。
Aさん「人は難しいので、他の物にしましょう。」
ここでAさんがうまく話を変えようとするが、一度盛り上がった話は収まらない。
Bさん「なんで難しいんですか?」
Aさん「例えばDさんは、実はロボットかもしれないじゃないですか。」
Eさん「それはDさんに失礼だよ。」
完全にEさんは怒っている。
Bさん「えっ?Dさんはロボットなんですか?」
Dさん「はい。実はロボットです。」
空気を読んだDさんは、ロボットのふりをする。
Aさん「ロボットは高分子じゃないんです。」
Bさん「えっ?ってことは、Dさんは高分子じゃなかったんですか?」
Dさん「はい。高分子じゃないです。」
Bさん「さてはさっき嘘をつきましたね?」
Dさん「はい。ロボットだとバレたくなかったので、高分子だと嘘をつきました。」
Bさん「ロボットだとしても、嘘は良くないですよー。」
説明が始まったばかりで、この始末。はてさてこの先、どうなりますことやら。
(続くかも)
人類みな高分子だった件 まみ。 @mm2445
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