第26話 新たなさだめ
半年後、小石川の屋敷が完成した。
夫婦となった二人は祝言に呼べなかった江戸の人々のために
集まったのは江戸に来てから共に笑って泣いた心の許せる面々だった。
真っ先に顔を出したのは『
そして
最後は門の前で様子を
最初は緊張していたものの酔いが回るとそこは江戸っ子で歌ったり踊ったりと笑いが絶えることなく、最後は勝五郎たちの
屋敷は充分な広さがあり、千絵と桃代も使用人共々同居することになった。
数馬と吉乃は屋敷暮らしとなっても日常を変える気はなかった。
数馬は
吉乃は頻繁に小舟で
長崎に行った亮介も同じ思いを持っていた。
吉乃は数馬にある提案をした。二人は夜通し話し合い結論に達した。
享保十八年(1733年)の秋、香月家の南東角に
そこには塀も門もなく、通りから敷地に入ると玄関前には大八車も回転できるほどの広場があるだけである。そして広場の西側は物干し場、東側は日当たりの良い庭で
それは入院施設を
「此処ならば
数馬が満足げに言った。
「わたくしたちはそれぞれ過酷な
吉乃は診療所の
「共に参りましょう。新たなさだめが
数馬はそう言って吉乃を見つめた。
「わたくしたちが
吉乃も微笑んで見つめ返した。
母屋から桃代の声がした。
「兄上様、姉上様~、亮介さんがお戻りになられます」 ―了―
ご落胤始末~葵の小太刀~ 池南 成 @sei-ikenami
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