貿易戦争に関する中国政府の見解

中米経済貿易関係の本質の歪曲は許されない

人民網日本語版 2025年04月10日15:51


中国国務院新聞弁公室は9日、「中米経済貿易関係の若干の問題に関する中国の立場」と題する白書を発表した。白書は、中米経済貿易関係に関する事実を明らかにし、中国側の政策的立場を体系的に説明している。また白書は、中米の経済貿易関係の本質が互恵・ウィンウィンであることを、数多くの事実によって示している。米国は一方的な関税措置を何度も繰り返し打ち出し、両国間の経済貿易関係の発展を損なっている。これは中国に損害を与えるものではあるが、米国自身を利することもない。(人民日報「鐘声」国際論評)


中米の経済貿易関係が現在のような状況にあるのは、経済法則が作用した結果だ。国と国は比較優位に基づく財の交換を通じて、自己の価値を実現し、互いの需要を満たし、共同発展を実現する。これは国際貿易関係の基本原理である。中米国交樹立以来、両国間の貿易額は1979年の25億ドル(1ドルは約146.7円)未満から2024年には6883億ドル近くへと大きく増加した。貿易額の大幅な増加は、両国が自然資源、人的資源、市場、資金、技術などの分野で高度な補完性を有し、深く融合した経済的・貿易的結びつきを形成した結果であり、米側の主張する、対中貿易で米国が「損をさせられている」という状況はそもそも存在しない。


中米の経済貿易協力は、双方に多大な経済的利益をもたらしており、米国の得ている利益は中国に全く劣らない。統計によれば、2024年、米国の輸出に占める対中輸出割合は大豆で51.7%、綿花で29.7%、集積回路で17.2%、石炭で10.7%、天然ガスで10.0%、医療機器で9.4%、乗用車で8.3%に達した。2022年には、米国の対中輸出によって、米国内で93万1000人の雇用が創出された。同年、米国企業の中国法人のうち、過半数出資かつ資産・売上または純収入が2500万ドル以上の企業は計1961社存在し、その売上は4905億2000万ドルに達した。米国は中国から大量の消費財、中間財、資本財を輸入しており、これらは米国の製造業のサプライチェーンや産業チェーンの発展を支え、米国の消費者の選択肢を広げ、生活コストを引き下げ、中低所得層を始めとする米国民の実質購買力を高めている。


米側は物品貿易の赤字にばかり目を向けて騒ぎ立て、中米の経済貿易関係の実態を歪曲している。物品貿易における中米間の収支の差は、米国経済の構造的問題による必然的な結果であり、両国の比較優位や国際分業体制によって決定されたものでもあり、さらには統計手法とも関係している。中国はこれまで意図的に貿易黒字を求めたことはなく、実際には近年、複数の措置を同時に講じて、積極的に輸入を拡大し、中国の超大規模市場を世界の共有する大市場へと発展させている。多くの加工品輸出において、中国が得る付加価値は商品の総価値のごく一部にすぎない。貿易を付加価値ベースで計算すれば、米国の対中赤字は大幅に縮小する。二国間貿易が均衡か否かを客観的に認識し、評価するには、包括的な深い考察が必要であり、物品貿易の差額だけを見てはならない。サービス貿易について見てみると、2023年、米国は対中サービス貿易で265億7000万ドルの黒字を計上しており、この分野で明確に優位にある。また、自国企業の相手国における法人の現地売上を見てみると、2022年、米国系企業の中国国内での売上は、中国系企業の米国内での売上786億4000万ドルを大きく上回り、差額は4118億8000万ドルにも達した。国際展開における米国企業の優位性は一層際立っている。このように、物品貿易、サービス貿易、自国企業の相手国における法人の現地売上の三要素を総合的に考慮すれば、中米の経済貿易関係における利益は概ね均衡している。


米国は一国主義や保護主義が台頭し、中国に対して一方的な関税措置を繰り返し打ち出し、両国の正常な協力を深刻に妨げている。この経緯を振り返ると、米国は過去数年間の関税戦争や貿易戦争から一体何を得たのか。全体的な貿易赤字は縮小したのか、拡大したのか。製造業の競争力は向上したのか、低下したのか。インフレは好転したのか、悪化したのか。国民の暮らしは良くなったのか、悪くなったのか。米側はその答えをよく分かっているはずだ。現在、米側が新たに打ち出したいわゆる「相互関税」が、米国民の生活の負担をさらに重くし、米国産業の将来性を損なうのは必至だ。米国各地で連日、いわゆる「相互関税」政策に反対する抗議活動が行われ、市場機関も米国の今年の経済成長予測を次々と下方修正している。米国のピーターソン国際経済研究所のデータによれば、関税コストの90%以上が米国の輸入業者、川下企業、最終消費者に転嫁されることになる。米側は両国及び国際社会の利益を顧みず、頑なに関税戦争や貿易戦争をするべきではない。


貿易戦争に勝者はいない。中国は貿易戦争を望んではいないが、中国国民の正当な権益が損なわれ、剥奪されるのを中国政府が座視することは断じてなく、米側の経済的覇権行為に対して、必ずや断固たる対抗措置を継続していく。中国は一貫して、中米間の経済・貿易協力において意見の相違や摩擦が生じることは正常なことであり、重要なのは互いの核心的利益と重大な懸念を尊重し、対等な対話を通じて意見の相違を適切に解消することであると考えている。米側は中国側と向き合って進み、一方的な関税措置を直ちに撤回し、対話を強化し、意見の相違を管理・コントロールし、協力を促進することで、中米の経済貿易関係の安定的で健全かつ持続可能な発展を共に推進するべきである。(編集NA)


「人民網日本語版」2025年4月10日



米国の一方的追加関税措置 中国商務部「米国自身に返ってくるだけ」

人民網日本語版 2025年04月10日15:18


国務院新聞弁公室は9日、「中米経済貿易関係の若干の問題に関する中国の立場」と題する白書を発表した。商務部(省)の関係責任者がこれについて記者からの質問に答えた。


【記者】米国の中国を含む貿易パートナーに対する一方的な追加関税措置ついて、中国はどう見ているか。


【商務部関係責任者】米国の関税関連措置は、基本的な経済法則と市場原理に違反しており、世界貿易機関(WTO)のルールに違反し、多国間貿易体制を揺るがすものだ。多国間貿易交渉で達成された利益バランスの結果を無視し、米国が長期にわたり国際貿易の中から多大な利益を得てきた事実を顧みないものだ。米国は関税を極限的圧力の手段として、私利を図るための武器としており、これは典型的な一国主義、保護主義、経済的強権行為だ。


米国はいわゆる「対等」、「公平」の旗印を掲げながらゼロサムゲームを行っており、本質的には「アメリカファースト」、「アメリカ例外主義」を追求し、関税という手段で現行の国際経済貿易秩序を覆そうとし、米国の利益を国際社会の公共利益の上に立つものとし、世界各国の正当な利益を犠牲にし、米国の覇権的利益に寄与しようとするものだ。既存の成熟したグローバルサプライチェーン・産業チェーンを人為的に断ち切り、市場志向の自由貿易のルールを破壊する行為は、各国の経済発展を深刻に妨害し、世界経済の長期的で安定的な成長に悪影響を及ぼしている。国際社会から広く批判されており、米国内でも大きな反対の声が上がっている。


歴史と事実が証明しているように、米国が関税を引き上げても自国の問題は解決できず、むしろ金融市場の激しい変動を招き、米国のインフレ圧力を高め、米国の産業基盤を弱体化させ、米国経済の衰退リスクを増大させ、米国自身にマイナスの結果が返ってくるだけだ。

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