第50話 完結 壊滅アレクサンドリア

トライデント・キャノンで一番小さいドラゴンを倒したものの、あのような巨大な首が沢山ある化物を見てしまい、俺達は手を出してはいけない相手に挑んだ事に酷く後悔し意気消沈してしまっていた。


 戦場から逃げてきたから定かじゃないけど、あの三頭は恐らくトーレス・パラメキア連合軍を壊滅させたのち、方向からしてトーレス城に向かったものと思われる。


 しかし、金ヶ崎にいた軍勢に比べて明らかにこちらの世界の織田軍、いや魔王軍の戦力は増えている気がする。

 そもそも、元いた世界にいなかったドラゴンをはじめとした魔物も加わっているから、パラメキアを陥落させた力も分からないでもないからな。


 まぁ、俺達もメリルや聖騎士団、それと指輪の召喚等、多少の戦力は向上しているが魔王軍とは雲泥の差がある。

 とてもじゃないが、俺達、いや今後アレクサンドリアの兵が総力を上げたとしても……。


 その事も含めてアレクサンドリアのジェラルミン王に報告して今後どうするか? を練らないといけない。

 何れはアレクサンドリアも狙ってくるだろうしな。


 俺達は馬車を走らせ急遽アレクサンドリアに向かった。

 かなり危険ではあったがアレクサンドリアに向かう出発は夕方からにした。

 陽があるうちは魔王軍に見つかる恐れが高いと思ってのことだったが、その分道中が暗くなるし、夜は魔物達が活発になるとの噂もあったが皆で話あった結果でもある。

 途中にトーレス城から炎と煙が上がっているのを道沿いから見えた。

 俺達は敵兵に見つからないように脇道を走りトーレス城を抜けたから内部の様子は分からないが遠目に見ただけでも惨状は予想出来るものだ。


 残念なから、トーレスの城下町でメリルが見た住人達の黒いオーラの意味が分かる結果だった。

 陽が沈み城や城下町から上がる炎が鮮明に見えている姿を見たら生きているものは少なく全滅しているかも知れない。

 こういう時だけメリルの能力を疑いたくなるがそのような都合の良い事にはならないからトーレスは壊滅してしまったのだろうな。

 それに、メリルの予言めいた事は、そもそもアレクサンドリア……。


 そ、そうだアレクサンドリアが気になる……。

「アレクサンドリア大丈夫かな?」

 同じ用に隣でトーレスの惨状を眺めていたメリルに思わず呟いていた。

「考えたくも無かったが予言めいたあの黒いオーラ、言える事は分かりません。ただ早くアレクサンドリアに戻り今後の対策をしないとです」


 だがメリルの言った事は現実となり、俺の心に深い傷を追わせてしまった。


 信長軍,、いや魔王軍がトーレスにいる間に俺達はアレクサンドリアを目指し損傷が激しい馬車を走らせ、全速力で帰路を進んだ。

 

 敵の存在が確認出来ない事もあり、俺達は行きと違い最低限の休憩(食事、睡眠、馬を休ませる)以外は時間が許す限り馬車を、走らせた。


 きっと聖騎士団達もパラメキアが陥落した時も同じようにアレクサンドリアに報告する為に無理をしてきたのがよく分かる行程である。


 幾日、馬車を走らせたかは分からないが、ようやく俺達はアレクサンドリア領内に入ることが出来た。


 だが、俺達が丘の上から見たアレクサンドリア城からは火の手が上がっていたのだ……。


 何故?


 敵の魔王軍はトーレスにいるはずなのに……。

 その時、地響きを立て砂埃を巻き上げながら、俯瞰で見たアレクサンドリアに向かう道の先から大軍勢が俺達の来た道に向かい行軍してらる姿が見えた。

 

 俺達は道の脇に隠れ軍勢が通り過ぎるのをひたすら待った。

「もしかして、これが魔王軍の本隊かも知れませんよ。秀吉さま」

「じゃ、トーレス・バラメキア連合軍を壊滅させたのは別働隊だったのか!? だとしたら恐るべき戦力じゃないか!」


 メリルの考えが正しいとしたら、俺達、いやこの国の者は手を出してはいけない魔王に戦いを挑んだことになる。


 魔王軍の行軍が通り過ぎるのにはおよそ半日近くかかった。その事から本隊と思われた戦力はおよそ数万だと思われた。


 早くアレクサンドリア城下の様子を知りたい俺達にとっては非常に長い時間だった。


 ようやく、軍勢が通り過ぎ、アレクサンドリアの城下に入れたのはすっかり陽が沈んだ夕方過ぎの頃である。


 だが、アレクサンドリア城下の街の様子は一変していた。


 焼かれた街並みは煤が空中に舞い、そこら中に魔王軍に蹂躙された跡ばかりだ。


 恐らく、街の人々は抵抗したのだろう。

 そこら中に亡骸が放置されていた。


 フレド達は……大丈夫だろうか……。

 嫌な予感しかしない中、俺達はアレクサンドリア城に向かって歩を進めた。


 ちょうど街の真ん中に歩を進めた時、俺達は一生忘れないだろう物を見せつけられた。


 それは、街の中心部近くにある広場。

 杭に刺された大量の住人達の生首だった。

 俺がいた元いた戦国の慣わしでは首を落とすのは戦においてはないとは言えない現実だったが、それは、ほとんどが抗う武者で負けたら首を取られるから皆必死に戦った。

 しかし、それは兵に対してであって敵意を示さない一般の人々には行なわいのが当たり前だったと思う。なぜなら、住人は働き年貢という形で支配者を豊かにしてくれたからだ。


 だが、この広場には年端もいかない子供や非力な女性の首も沢山晒されていた。

 後にも先にも、このような情景に近いのは叡山焼き討ちの時ぐらいだ。

 しかし、叡山焼き討ちも決行したのも信長さまだから、きっとこのような惨たらしい事を指図したのも御屋形様なのだろう。


 しかし、真に酷い事をするものだと晒された生首を見ていると、そこには見慣れた顔があった。


 そ、それはフレドと兄弟達が無念の表情を浮かべて杭に突き刺してあったのだ。


「うわぁー」

 と思わず涙と共に叫んでしまった。


 アレクサンドリアを出発する時にフレド達に手伝ってもらった事やその後の楽しかった食事。いやこの世界に転移された時に初めてあったこちらの住人がフレド。


 その事が走馬灯のように頭を駆け巡る。

 そして、俺は沸々と哀しみと共に怒りが込みあげてきた。


「信長ぁーー」


 この先どうするか? 迷っていたがこの事で吹っ切れた。


 俺はこの世界の為に信長を倒す! 

 と強く心に誓ったのだった。


※ あとがきとして………。



ファンタジーカップでズッコケた話と、猫と白球に賭けてる今の話です。


みなさま、こんにちは!そして初めましての方は、ようこそお越しくださいました。

筆名そのまんまの人です。

今日はちょっとだけ“あとがき的”な雑談をさせてください。


実はですね、ちょっと前に――


『転生転移秀吉 異世界行っても天下取る!!』

という作品で、第五回ファンタジーカップにチャレンジしてました。


結果? ええ、もう、なんと申しますか……


「天下取りどころか一各賞に選考すらされなかった爆死したでござる!!」


いやあ、異世界って厳しいですね。

あの秀吉も、異世界で“合戦じゃなく選考制だった”と気づくのに時間がかかりました(遠い目)。


でも、ここで終わってたまるかーッ!と、

心の中の猫と球児が立ち上がりました。


そうして今――


第八回ほっこり・じんわり大賞にて

2作品エントリー中です!!


【エントリー①】

『吾輩は捨て子猫である ~動画投稿でご主人を救う恩返しにゃん物語~』


→ボロボロだった子猫「もち」が、拾ってくれたご主人を救うため、

動画でバズって再生数で成り上がる“にゃんこ系ほっこりサクセスストーリー”です!


 泣けて、笑えて、ちょっとだけ現実に希望が持てるような……

 そんな物語になれたらうれしいです。


【エントリー②】

『夏空フォークボール』


→元・名門校の155キロ左腕が、弱小校で出会った仲間たちと、

“背番号の重み”を背負って、甲子園を目指す青春ストーリー!


 汗と涙と少しの恋心。

 読み終わったあと、なぜか麦茶が飲みたくなるような物語です。


どちらも、今の自分が全力で“じんわり”を込めて書いた作品です。


なので……


\\どうか、応援していただけたらとっても嬉しいです!!//


ランキング投票やお気に入り登録、感想コメントなんていただけた日には、

筆者は画面の前で舞い踊ります。

猫のようにゴロゴロしながら書きます。球児のように真っ直ぐ書きます。


どちらの物語も、

「なんか疲れたな……」というとき、

「少しだけ癒されたいな」って思ったときに、そっと寄り添えるような物語を目指しています。


読んでくださったあなたに、心からのありがとうを。

そして、これから出会ってくださるあなたにも、

心からの「よろしくお願いします!」を。


それではまた、物語の続きをお届けしながらお会いしましょう!

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転生天移秀吉 異世界行っても天下取る!! カトラス @katoras

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