ミード(蜂蜜酒)作成

夜になり、作戦を開始する。


巣の出入り口で、巣が燃えないように焚き火を開始する。


一個の焚き火では煙が足りない為四つ同時に行う。


生の草も入れ煙を増す。


そろそろ蜂が出て来てもおかしくない。


「兄ちゃん来るぞ!」


ギルド長が声を出した瞬間体長4メートルはある蜂が現れた。


絶対あれが女王蜂だ。


「お主らなんて事をするのだ」


女王蜂が喋った!?


「えっと…」


「静かに過ごしていたと言うのに…何故攻撃するのだ」


「待ってくれ、先に家畜を攻撃したのはそっちではないですか?」


「かちく?と言ううのは知らぬが…」


「ギルド長これは一体?」


「ごく稀に魔物の中に言語を話すことができる者が出現することがある。そいつを魔族と呼ぶ。」


「魔族ですか…魔族と和解ってできると思いますか?」


「兄ちゃん何を言って…」


もしかすると、話で何のとかなるかもしれない。

そうすると、ハチミツを安定供給できる!


「ギルド長…提案があるのですが…………というのはどうでしょうか」


「奴が話を呑んでくれるかわからないぞ…」


「試させてください」




「女王さん、私たちと取引をしませんか?」


「取引だと?」


「お互い争いは望まないはずです。ですがお互い干渉しないのは難しい。なので取引です」


「ほう。何を望むのだ」


「私たちは、肉や魚、美味しい蜜が出る花を提供。そちらからは安全とハチミツが欲しいです。」


「我らが作った蜜が欲しいと?」


「そうです。あなた方が作った蜜はとても美味しく価値のあるもの。できれば争って奪うのではなく取引で安全に欲しいのです」


「…悪くない話だ、では契約をしよう」


「契約?」


「主従契約だ、我が主の従者として契約をする。その方が誓いが破られることは無い。それに、村の人間が我らを攻撃するときは、主が守ってくれるのだろう?その方が都合が良かろう。ほれ、手を出すのだ」


「あ、あぁ」


言われるがまま左手を出す。


女王の額と左手が触れたとき、魔法陣が現れた。


「ほれ主様、宣言をして我に名をつけるのじゃ」


名付け……女王…蜜蝋…綺麗な光のような蜜……


「えっと…酒井 健一はここに主従の宣言します。お前の名は…ルセリア」


「ここにルセリアは酒井健一の従者となる」


魔法陣が消えた。

これで終わったのか?


「おい兄ちゃんすげーじゃないか…魔物と契約するなんてよ」


「主様よ、それでは村の人間とも話をしに行きますぞ」


「え…?」


「どうしたのじゃ?」


女王がいた場所に綺麗な女性が立っていた。


「えっと…ルセリア?」


「そうじゃ?名をつけたのはお主じゃろ」


「ギルド長…これは…?」


「もう俺の常識が通じねんだ…すまねぇ」


「ルセリアその姿は?」


「契約と同時に新しい固有魔法を手に入れてな。安心せい、元の姿にもなれるぞ」


人型と魔物型になるのは自由のようだ。

村に行くのは人型が便利なためそのままで居てもらった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


夜遅いが村に戻った。


村長とだけ先に話をすることに。


始め村長はルセリアの魔物の姿を見た瞬間気絶した。

意識が戻ってからは、話を進めた。

村との友好関係は無事に深めることができた。

村の人たちの恐怖心をなくするには時間はかかりそうだ。


ーーーーーーーーーーーーーーー


「じゃあルセリア、俺たちは街に帰るよ」


「そうか我も少し巣へ戻る。何かあったら呼んでくれ。呼ばれなくても向かうがの」


少し会話をし別れた。


樽にハチミツを貰い街へと戻った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「セラフィーナさん戻りました」


「ケンイチさん!ご無事でよかったです…もう戻られないのかと…」


「ご心配おかけしました。ですがバッチリ元気です!この通りハチミツもありますし」


子供たちも駆け寄ってくれた。

大変心配をかけてしまったのだろう…


「それではハチミツでお酒を作ってみませんか?」



ーーーーーーーーーーーーーーーー



ハチミツと水を混ぜ火にかける。


沸騰させないように暖かいお湯程度の温度(約40℃)で混ぜる。


よく混ざったらパンの酵母を混ぜさらに混ぜる。


よく混ぜ終えたら、樽に移し冷ます。


酒聖を使い発酵させる。


3回酒聖を使い、色が濃くなるまで行う。


とても綺麗な琥珀になった。


これで完成だ


ーーーーーーーーーーーーーーー


「セラフィーナさん呑んでみてください」


「甘くて美味しいです!口触りもトロトロして新しい食感です!」


「子供たちにはハチミツミルクを、それでは食事にしましょうか!」


新しくミードが増えたことで、街の噂になるのはまた別の話。

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