この世界への思い

何て理不尽な世界なんだろう。

そう思った。皆、個性があると言うのに。

大切な人が幸せになって欲しいと願っても、叶わないことがあるなんて。

どうして、どうして何だろう。嫌だ。嫌だ。

ひなの夢は大切な人ー妹のえなに幸せに、笑顔で居てもらうこと。

彼女にはずっと、自分のやりたいことをしてほしいと思っていた。

才能がないからと悔しそうに笑って、諦めようとする姿を見てきた。

明るく、優しいえな。

努力家で物事をやり遂げようとする力があるのに彼女は、自分に才能がないと言う。

努力することも立派な才能だと言うのに。

えながそう思えなくなってしまったのは、周囲の環境のせいだろう。

昔から、えなが文句を言わないことをいいことに、雑用を押し付けてくる人が沢山居た。

もちろん、えなは文句を言わないのではない。

不満は持っていても、口に出さないのだ。

それだけ、えなは優しい。

ひなのことも気にかけてくれている。

きっと彼女は、ひなが耐え続けている理由を知っている。

そして、耐えることを終わらせようとしてくれている。

ーいつか本当に終わらせることが出来るのかな。


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