ミロコタニウム

ぴぽ

第1話 正夢


「ねぇーもう帰ろー俺もう帰りたいよ!」

夏休みの半ば、親友の健斗を連れて、寄り道で心霊スポットに立ち寄っていた

「たいしたことないよーそんなんでビビってんの?」

「ビビってねーよ!」

恐る恐るトンネルの入り口に立った

「行くか」

俺はゴクリと唾を飲んだ

「そうだな」

その瞬間

「オ、マ、エ、ラ、ノ、ロ、ッ、テ、ヤ、ル、」

『ぎゃああああああああああああ』

二人して思いっきり叫んだ

その後はただただ必死だった

山の中、必死に走り酸素が回りずらい

「はぁ、はぁ、はぁ、」

段々息があがってくる

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」

健斗もだった

「マ、マテエエエエエエ!」

「やばっ。」

健斗が足が絡まって転けた。瞬間健斗が化け物に喰われた

「け、けけ、健斗……!」

その時、目が覚めた

夢だった。

今日は8月2日。とても快晴で、山登りには最適だった。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」

でもなんだか、生々しく思えた

 今日は健斗と山を登る

「よっ!朝日!」

今日の夢のトラウマが頭によぎる

「お、おう」

「ん?今日は元気なくね?なんかあった?」

「いや、何にも。」

「ほんとか?少し顔色悪いけど」

「何もないって言ってんだろ。早く登ろうぜ」

話を逸らそうとする

今日は一日中晴れる

「お!看板通りに進めば頂上に着くってかいてある!行こうよ!」

「おう」

そのまま順調に進み、頂上に着いた。

「おー!綺麗だなー!」

「本当だな」

『下るか』

しばらく下っていると健斗が言い出した

「なぁ、行きと違う道行かない?」

「いや、危ないからやめようよ」

「いいじゃん!いいじゃん!学生最後の思い出作ろーぜ?ほら行くぞ!」

「いや、本当に危ないって」

一人で行ってしまったので俺はついて行った

「ここの近くに心霊スポットがあるらしいよ?ついでに行こうよ」

「ついでに行くバカがどこにいんだよ。」

「たいしたことないよーもしかしてビビってんの?」

ん?これなんか聞き覚えがある

「行くぞー?」

やっぱりセリフが夢と同じだ、でも言ってる立場は逆だけど、でも、夢と同じなら、健斗が食われて死ぬ?それとも俺か...?

その瞬間

「オ、マ、エ、ラ、ノ、ロ、ッ、テ、ヤ、ル、」

『ぎゃああああああああ』

その後はただただ必死で走りながら健斗のことを考えた。どうしたら救える?どうしたら健斗は生きる?どうしたら?

山の中のせいなのか酸素が回らない。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」

息が上がる

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」

健斗も息があがっていた

「マ、マテエエエエエエエエエエエエエ」

健斗の足が絡まりこけてしまった

「ごめんな」

そう言い残して、健斗は化け物に喰われると思った

「あ、朝日?」

咄嗟に体を健斗の前に止まれた。

よかった。救えた。

その後俺は山を抜けて化け物のことを猟師に伝え、化け物は死んだ。といっていいのか、灰になって消えた。朝日は俺を救ってくれた。


「あの時はありがとうな。朝日。朝日ほら、饅頭置いておくな、また来年に来るな」

ちょっとした、昔話をした。

「毎年忙しいのに来てくれてありがとう。きっと朝日も嬉しがっているよ。」

「いえいえ。そもそも、俺が助けれれば、、すみませんでした。」

「もう何回も謝らなくてもいいのよ。もう過ぎた事なのだから。毎年来て健斗も嬉しいと思うから。また来年も来てね。」

「はい。必ず来年も来ます。」

そう言って朝日の家を出た

でも俺は、少しでも、その化け物のことに知りたくて、研究者になった。。

必死に勉強して、無事志望校も、受かり、研究に没頭できる大学にもいける事ができた。

まだあの化け物の情報がまだ出ていない。でも、いつか得たら、何であいつが健斗しか狙わなくて、どうしてあの山中に突然現れたのか知りたかったから。あともし現れたら、復讐したいから。

その時

「ピコン」

スマホが鳴った。新情報と、大きな文字で書かれていた。詳しく見ると

[化け物は元々人だった事が判明した。]

との事だった。意味がわからなかった。やっている事はほぼ共食いじゃないか。

まだ続きがあった

[化け物の増加の条件は食べた人間を胃液で感染させ、5年後に化け物、通称ミロコタニウムにじわじわと胃の中で変身してしまう。さらに、来年。ミロコタニウムは出現する。]

との事だった

「は?」

思わずこえがでてしまう。

「今は、あの事件から、ちょうど四年、じゃあ来年出現するのは健斗になるのかよ。だったら、俺が復讐したい相手って、健斗になってしまうのかよ。」

俺は見落としていた。ミロコタニウムとなってしまった健斗を、捕獲しなければならないことを。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ミロコタニウム ぴぽ @pipo0915

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る