第9話
それは診療台の足へと固定されていて、身動きしようにもできない苛立ちが彼女から伝わってくる。
「ふざけるのはやめて頂戴。これのどこが診察ですって?」
「ふざけているのは君だろう。なんで今日は松葉杖も持たず、包帯も巻いていないんです?」
「……それは、邪魔だったから、」
「……へぇ?」
いつものように、しかしいつもとは違い少し怯えを滲ませて告げる彼女に僕はニヒルな笑みを浮かべる。
そのまま無防備な脚へと手を伸ばすと、――――それを思いっきり高く持ち上げた。
「いっ、たい!!痛いわ!!やめて!!」
「痛い?そうなるようにしたのは君だろう?」
「……っ」
「僕は何度も言った。このままじゃ治らないよって。でもその忠告を無視し続けたのは君です」
そうだろう?と僕が尋ねると、彼女は悔しそうに唇を噛み締めた。
……また、だ。
彼女のこの表情を見ると、僕はいつも身体が鉛のように動かなくなる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます