第4話

「あ……っ」


「……」


「んん……っ」




さっきから聞くに耐えないイヤラシイ声を出す彼女。



勿論僕のせいではない。



僕はいつも通り彼女の脚を触り怪我の具合を確かめているだけだ。




「さっきからその声、どうにかなりませんか?」


「あら、ごめんなさい。今日の相手想像以上に激しかったからまだ身体が敏感なの」




そうなんの恥ずかしげもなく言い放つ彼女はさらりと長い髪をかきあげる。



すると先程まで艶やかな髪に隠れていた細い首筋が現れ、……さらにそこに存在する紅い痕まで視界に入った。





彼女の『激しい』という言葉通り、その痕は身体中の至る所にあって。



なんなら僕が今触っている左脚にも無数の紅いシルシが。




「……また包帯を外したんですか?」


「だってスル時邪魔なんだもの」




全く悪びれる様子もなく開き直る彼女は俗に言う《ビッチ》というやつだ。



毎回僕のところへ来る前は誰かと“楽しんだ”後で、しかも毎回その相手は違うよう。

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