雪の牢獄

第1話

しんしんと、美しい雪が降り積もる。


空を見上げれば、どんよりとした灰色の雲が今にも襲いかかってきそうだった。


手は既に真っ赤で指先は動かない。体温なんて、真っ白なカーペットのように敷かれた雪に全て奪い取られてしまった。


ああ、今にも気がおかしくなりそう。



「寒い、寒い寒い寒い……」



何度言ったかわからないこの言葉。


ガラス越しのテレビから『今日はこの冬一番の寒さになるでしょう』と女の人の声が聞こえた。


そんな日に私は薄いワンピースに裸足、防寒具なんて一切纏わない姿で外に“出されている”。


この状態になってから、一体どれだけ経過したのか。


数分か数十分か、はたまた数時間か。


気が遠くなるほどの寒さに意識が途切れかけた時。


今まで一切こちらを見なかった彼が、ようやくソファから立ち上がり大きな窓へ近寄ってきた。


窓の向こう側にいる私を、愉悦に顔を染めて見下ろす。



「ふふ、寒そうだね」


「……ッ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る