美しき獣(抄)

高田

第1話 海

美しき獣のために

海はこんなにも高らかに鳴る

美しき獣のために

空はこんなにも吹雪を吹き付ける。


あなたは獣

うつくしき 獣

踊って 今際の際の明けるまで

踊って 濁世から浮かび来るひかりがみえるまで。


あなたは 獣

うつくしき 獣。


言葉がないところで

あなたはこんなにもうつくしく狂う

正解からそっぽを向いて

あなたはこんなにもうつくしく歌いだす。


浪 高らかになれば

空 あらぶって吹雪けば

獣 あなたの声はすでに大陸を超える

獣 あなたはすでに大地の領分にある。


美しき獣のために。

海はこんなにも高らかになる

美しき獣のために

空はこんなにも吹雪を吹き付ける。


美しき獣のために

わたしのなかに沸き上がるのはひとつの海

みずからの浪のエネルギーによって

絶えず分断され

エメラルドグリーンの断崖をみせる

あらぶりつづけるひとつの

海。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る