第25話

「おい!!」

走りかけたリジェイラに、エメラルドが耳元で、

「本の注意書きに書いてるらしい。

“本を燃やすと、本の存在自体なかった事になる。”


つまり、今生きてる人の世界中の人が、この本を忘れるってこと。


もちろん、『中身』も、最初から誰も見なかった事になる。」


パチパチと、半分以上燃えていった。


リジェイラは立ち止まって、ぼうっとし始めた。




―…スカイは、瞼を閉じた。

クッキーは、スカイの腕をぎゅっと握りしめた。

―…スカイの脳裏から、記憶が消えていく。



・・・ある日に

スケッチブックに

黒鉛筆で 生きてた“父さんと母さん”を描いてたこと。


親友を3人並べて描いたこと。


ただの、黒い鉛筆で各々の目の中を描いてゆく。―……



…スカイの見た本の中身は、

それだった。


消えていく記憶の中、


(ぼくは、本を見ても見なくても、

ぼくにとっての世界一がなにか、

ぼく自身が知っている…)


…やがて、本は燃え尽きて、灰となった。




・・・ポイズンベアーズは、結局、何故スカイを誘拐したのか、理由が分らなくなったので、

4人を置いて、どこかへ行ってしまった。


あの、パープルの目の女の子も、

何事もなかったように、仲間と移動する。





…4人も、シティーに戻って行った。

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