第16話

リジェイラは睨む。

「つまり、『オレとオマエは違う』って言いたいのか?」

スカイは、すかさず

「違うよ、父さんも母さんも、あんたと同じだったけど、憎しみも欲も捨ててるんだって言いた…」


リジェイラは笑った。


「傑作だよ。子供もクソか。

お前は、まだ何も分かっちゃいねえよ」


リジェイラはスカイの端整な顔を、覗き込む。

お互い睨みあい、リジェイラは言う。


「結局、損してるんだろ?

お前の考え方。街の中は、欲しい物だらけだろ?

みんな、うまいもん食って、ブランドを買いあさって、飽きたら捨てる。

その繰り返しを、お前はうらやんでる。

俺もうらやんでる。

『オレとオマエは一緒』だ。」


リジェイラは、

「なあ、殺す事はしないぜ。

でも、多少の『金』やるからよ

お前の見た本の中身を教えろ。お宝は、俺達がとってきてやる。

お前ひとりじゃ ムリだからな。

少し売れば、金になるぜ。

協力するだろ?」


スカイはリジェイラを

じっと見た。


「ぼくが、宝なんて見てないって言ったら、どうする?」

「!!?」


周りが、ざわつき始めた。


リジェイラは顔が歪んだ。

そして、スカイの脚を蹴った。


横目でスカイを見る。

ぐるぐる歩きまわっては、止まって、落ち着きがなくなった。


明らかにイラつき始めている。


周りの数人、腕を組んでニヤニヤし始める。

リジェイラは、自分の爪を噛み始めた。

「とにかく、吐かせる。」


小声で言ったリジェイラに、スカイは、

「ぼくは これから、あんたに何も言わない。」


そう、宣言した。

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