百年炎樹(ひゃくねんえんじゅ)

月白ゆきの

『百年炎樹(ひゃくねんえんじゅ)』

第1話

今は昔、

西の国で、ひとり特別大切に育てられた娘がいました。


 娘の名は、桃歳(ももとせ)といい、小さな時から、わんぱくな子でした。


馬を自由に乗りこなし、木登りもこなし、一見自由奔放なものに見えるのですが、それも、今年の12月いっぱいまでなのです。


大みそかに15歳の桃歳は、国の片側にある山に連れてゆかれ、そこにそびえる大木に供えられる運命なのです。


大木は、『百年炎樹(ひゃくねんえんじゅ)』と呼ばれており、

百年に一度、自然に燃え尽きてしまう木なのです。


その飛び火が、西の国一帯に広まり、すべてを焼き尽くすと言い伝えらてるので、発火を止めるべく術を身に付けた桃歳を、ひとり犠牲にすることで、西の国を守るのです。

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