バスタブで魔法薬を
ブレーメン音楽祭
一浴目 一番風呂で長風呂するやつは疑え
その個人。
女子にしては少し高い170cm前半の、メガネとウルフカットが似合う孤高に見えた阿呆は昼下がりさっき食べたはずの鰻が腹にたまる感覚をも忘れ目的地の静岡県熱海市の一軒家を目指しながら考える。
現代21世紀、とりわけここ10年くらいになってからとてつもなく無駄が多くなっている気がする。
気がするだけと言われたらそれまでだけど。
例えば無意識にコンビニより買うつもりでも無いものを適当に買ってしまう。
あれは悪魔だ。
本来寄るつもりもないはずなのに導かれてしまうあの魔力は何なのだろうか。
気付けば左手にフランクフルト、右手にはアメリカンドッグ持っているではないか。
何故か愚かな私は似た種類のものを買ってしまい、違うジャンルのものを味わう機会をも見逃していまう。
やはり何か人を誘っているフェロモンを撒き散らしてるに違いない。
コンビニはサキュバスだ。
他にあるとすれば言葉として「メロい」あぁろくでもない便利すぎる。
これを使う度に脳みそが萎縮して同じ言葉しか話すことができない別の生命体にでもなってしまいそうでとても怖い。
本来言葉の豊かさが特徴であるはずの日本語の美徳を正々堂々正面から殴り飛ばし新たな時代の幕開けとでもいいたげな言葉。
ジェネレーションギャップによる上の年代に通じない時の破壊力は測りえないほど強い。
他にも無駄なものを考えているとふと何度も頭から滲み出てしまうイヤなものがあった。
もはや無駄とすら言っていないもの、それはラノベのタイトルの不気味なほどの長さである。
長い、とにかく長い。
長けりゃいいってもんでもないだろうに髪の毛や舌なんかじゃないのだから、スケベ心も
ほんとに長いやつ読む気失せるよ。
血の気引いて真っ青レベルで
この二色で3D酔いするくらい苦手だ。
嫌いじゃない。
得意じゃないだけ。
そうゆうのもあるよね
読み手への配慮なのか書きたいことが多すぎる故の少年心なのか分からないがどうしても好きになれない。
誰かとは言わないが、それは不特定多数のネットに
またどうでもいいことを考えてしまったと絶望しているその人のスマホが鳴る。
「目的地に到着しました」駅から歩いて何時しか15分、ギリギリ駅チカを名乗っても咎められない絶妙な場所にある学生向けシェアハウス「鍋の底」各個人部屋に専用風呂場があるらしくそこが選んだ決め手だった。
乙女たるもの常に清潔であれとよく囁いたものだ。
見た目こそ新しいけどやけに錆臭い。
案外ガタがきてるかもしれない。
家賃を分割することができて、
最初は私含めて2人だけらしいがこれから順次増えていくらしい。
もう1人の同居人は進学校よりの学校らしいからきっと頭がいいのだろう。
勉強でつまづいたら助けてもらおう。
同居人に思いをふけながら家の目の前に緊張で何分も突っ立っている私、
理由としては国として独立できるのではないかと錯覚するほどでかい北海道が地元にて妙に無駄を気にする正義感的なものがある癖に頭は悪く周りに馴染めずにいた。
なまじ見た目が知的とかっこがいい雰囲気がいいせいで最初こそもてはやされるのも秋のごとく過ぎ去り、いつの間にか孤立していた。
中学校自体の偏差値が高く、周りの人間達がとても聡明だったおかげでいち早く自分の愚かさに気付いた私は将来生き抜くすべを見出すために本州へ飛び出すことにした。
確か先に同居人が昨日か一昨日から来ているらしく歓迎会をする手筈になっている。
そして目の前の家を見上げ心を奮い立たせる
「最初のイメージが肝心。ミスったらシェアハウス内で立場最下位になってしまう!」
人と同じように家もこれからを共にする拠点であり運命共同体である。
握手をするような心持ちでインターホンを押す。
ping pongとやけにオシャレな歓迎音が流れる
「ごめんくださーい!今日からお世話になる春夏冬でーす。」
反応がない
もう一度押してみる。
握手はするだけ相手と通じ合えるコミニケーションなのだから何回か押しても怒られやしない。
しかし何回押しても反応がない
....きっとアレだドッキリ的な感じで出迎えてくれるに違いない。
そう思い扉を開ける。
開けた先には一本廊下の左右に一つずつ、その先に広がる形に吹き抜け型のリビングがあった。
リビングに近づくにつれ、錆の匂いが強くなったのに加え、柑橘系の匂いがする。
アンバランスな匂いで少し気分が悪くなりそうだ。
リビングにはよく見ると壁にパーティー用の飾り付けがされている。
何故か上から赤色のシャボン玉が降ってくる。
錆の匂いはこれっぽい。
中心にあるテーブルにはオレンジ色の生クリームで作られたケーキに「あきない」とチョコレートプレートに書かれている。
「良かったぁ〜とりあえず歓迎されてる!ケーキまであるし、でもなんでオレンジ?」
とりあえず生クリームを掬い舐めてみる。
「ユルい?ってか微温いなこれ常温だ!常温ケーキ!」
微温いケーキなどケーキとは呼べない「ケ」のひとつすら付けれない何かだ。
不意に大声を出すと二階から
「え?あれもうそんな時間!?
....まぁいいやもちょい待って〜」
妙に反響する気怠げな声が聞こえる。
経験則として待ち時間に合わせて動かないやつは信用できない。
友達との待ち合わせで「ごめ〜ん遅れるかも」とか言っときながら片手にスタバ持ってくるような奴らみたいなものだ。
ろくでもない、待つことができないサル以下だ。
そんなヤツらとおなじ匂いがする。
匂いの原因もきっとこの人だ。
右手側にある二階へのかね折れ階段をのぼりふたつのドアの内空いている方、壁に(雅の部屋)と書かれた部屋がある。
少し熱を帯びた空気と柑橘系と錆の匂いの先には、、
黒々としたバスタブに半身浴している素肌にワイシャツを羽織ったままの人がいた。
シャツ越しに感じる胸の膨らみから女性とわかる。
浴槽は血に染まっていてオレンジが浮かんでいて、シャワースタンドに指先から肘にかけてが下になるように立て掛けてあり指先から血と泡がゆったりと流れ続けている。
血とは対象的に彼女の肌は雪のように白く、それれらが染まり合わずずぶつかり合う中、白のワイシャツがまばらに血に染まりマーブル模様を描いているのがとても官能的でエロい。
見とれているとタイミングを失いそうなので先んば挨拶を
「初めまして!
私は春夏冬 栞です。秋があってないような北海道から来ました!ケーキはありがたいけどなんであそこまで生温くなったんです?」
すると彼女はしてやったりとゆったりと笑いながら、
「秋と言ったら紅葉、紅葉と言ったらオレンジ色。君に秋を届けたくてあの色にしたんだ。お風呂は気付いたら三時間近く入ってたかも。血は私の趣味。」
続けて
「鉄分とビタミンを一緒にとると鉄分の吸収率が大幅に上がるらしい。私が血を飲み続け鉄のようになったら君は私を金床で打ち込んでくれる?」
やっぱり大概録でもなかった
バスタブで魔法薬を ブレーメン音楽祭 @siori327
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。バスタブで魔法薬をの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます