花影の幽鬼
欧海啓元
第1話
灰色の霧が 静かに谷を覆う、
漆黒の森には白い影が彷徨う。
その姿を求めて、深みに足を踏み入れる。
森の奥には花の海が広がり、色彩は虚幻に染まる。
花叢を分け入り 探し求める
破れた花蕾は 裂かれた痕跡を残し
凍てつく露は 冷たい涙のよう
そして、花海の主を見つける。
彼女の指先に誘われて、夢幻のゆりかごへ。
一体、何を求めているのか。
侵してはならない禁忌、美しき花の言葉も 碎けし誓い 戻らず
灰色の雨が降り注ぎ、雷鳴が轟く。
茨の薔薇が 乳白色の白骨に絡み
白い布が風になびく。
花海の果てが見えず、迷子のよう。
雨は花々を洗い流し、疾風が 花苞を揺さぶり。
葉擦れの音が 悲しみを奏でる。
花は腐敗した泥を好む。
雨と共に花の下へ、永遠に。
花影の幽鬼 欧海啓元 @WZ120
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