第1話 日常とポンコツ騎士

(ふぅ・・・・・終わった。今回の任務は完了した・・・帰るか)


 そう思いながら、全身に黒い衣装を着ている男の前に貴族が住むような屋敷の広い部屋のベットに横たわっている首を切られている死体があった。


 屋敷の誰にも気づかれずに外に出て男は、人目につかないある港の倉庫らしき所にたどり着いた。


 倉庫の扉に男は周囲を確認し誰もいないことを判断して、魔法を使った。


 すると、倉庫の扉を開け中に入った。


 男は中にはいると、部屋の奥から眠そうな男が出て来た。


「43番・・・帰ったか・・ミッションは成功したか?」


 43番と呼ばれた男は、眠そうな男の質問に首を上下に一回頷き肯定した。


「わかった・・・もう休んでいいぞ。でも明後日から普通の仕事だ」


 そう言いながら、眠そうな男は奥の部屋に戻っていった。


(明日は休んでいいのか・・・)


 眠そうな男の発言から、43番は推測し倉庫を出る前に索敵魔法を使用し、外に出た。

 

 43番は、町の中にある宿舎の裏路地側の窓を開けて部屋に入った。


 (腹が減っているが、まずはシャワーを浴びることにしよう)


 黒い服を脱ぎ捨て裸になって、43番の自分に施している魔法を解いた。

 

 魔法を解くと鍛え抜かれた筋肉と全身にある傷跡とその他に、首に43と描かれたチェッカー付けていることがあらわになった。


 そして、シャワーを浴び終わりそのまま部屋の中にある鏡の前に立った。


 43番は、首に巻き付けられているチェッカーに触れた。


(やっぱりこれ邪魔だな・・・これのせいで、声が出すことができねぇ。だから’’基本’’人と会話することができない。それに加えて、この都市全体だが移動範囲が狭められているのはめんどい・・・不自由だな)


 そう思いながら、鏡に写っている自分の顔を見たらしかめっ面になっていることに、気付いた。


(どうしようもないな・・・)諦めながら、43番は自分に再度魔法を発動し全身を変化し、部屋着に着替えた。


 そして、43番は自分の部屋から出て共有のキッチンに向かった、この宿屋は’’表’’向きはある所で働いているの作業員が宿泊している施設だった。


(食材が少ない・・・今回の担当・・・俺だったか・・・明日は調達をしないといけないな・・・そうだった・・しかもアレを取りにいかないとな・・・あそこに行くの嫌だな・・)


 棚などあさり、食材が少ないことに気付いた。


 ご飯を自分で作り、おなか満たされ部屋に戻り43番はベットに倒れ込んだ。

 

 太陽がもう少しで、出そうなタイミングで静かに睡眠をとった。


 時間が立ち43番が起床したのは、太陽が頂点に達している時間・・昼頃だった。


 43番は起きてすぐにこの町の人間と同じような服に着替え、口元を隠すようにマスクを付け宿舎の正面の入り口から外に出て食材が売っている市場に向かった。


「おい!坊主・・・久しぶりだな・・今回の買い出しは、お前だったか」


 話しかけたのは八百屋に営んでいる中年の男だった。

 43番はその言葉を聞き、気づかれずに魔法を発動した。


「親父・・・いきなり話しかけじゃね!びっくりするじゃねぇか!」


「わりい・わりい・・・でもどうせ買って行くんだろ。’’お前ら’’買い出しぐらいしかこっちに来ないだろ・・・珍しいなぁこんな昼頃に来るのはいつもは夕方頃だろ」


「今日は仕事が休暇なんだよ・・・でも買い出しは仕事と関係ないから面倒なことは

早めに終われらした方がいいだろ」


「面倒ごとって・・・まあいい。どうせいつもぐらいの量ぐらいの食料を買っていくだろ。うちは新鮮の物を仕入れているからな」


 八百屋の親父は、自慢げな顔をしながら名前を知らないが頻繫に商品を買ってくれることに自分の懐が潤うことから43番’’達’’のことは印象が良かった。


 そんな会話をしていると、突然、市場の奥から大きな声がした


「どいて!ー・・・・・どいて!ー・・・・・」


(・・・・っ!)


「ぇ・・・・・・・・・・ぐへぇ」


 市場の奥から、突然、普通ではありえないスピードで人間が走ってきた。


 その人間の走っている直線上に43番がいてぶつかりそうにブレーキを掛けて体で受けてもらったら少しは安全に止まることができたが瞬時によけられて、顔から盛大に転んだ。


「危ないじゃねぇか!!」


「すいません・・・すいません・・・」


 転んだ人間の見た目は、鎧をまとっておりこの町での騎士の姿をしており顔の特徴としては、中性的な顔をしており綺麗な茶髪に茶色い瞳をしていた。


 だが、顔をぶつけたせいか顔面が赤くなっており、そして鼻から鼻血が出ておりみっともないことなり、とても騎士らしくなかった。


 八百屋の親父さんが知り合いなのか、呆れた表情で発言した。


 「お前さんや・・・・どうしたらこんな事になるんだ。もう少し、安全に移動する方法があるだろうが・・・この前だって、空の飛んで壁にぶつかっていた噂を聞いたぞ」


「すいません・・・ある場所に急いで行かないといけなくて、この前ことで団長に話を聞かれて、空飛ぶの禁止と言われ・・・・他の方法で早く行く必要があると思い、足を速くする魔法を重ねて発動した結果、走り始めたら止まらなくなり今至る状況です」


「はぁ・・・どうしたらそうなるんだ・・・これは団長さんやらに報告しておくぞ」


「・・・ぇ・・・・止めてください!!団長・・怒るととても怖いですよ!嫌だ~」


「怒られておけ・・・そういえば、ある場所ってどこなんだ?今日はどこも騒ぎになっていなかったがなんかあったのか?」


「え・・・言ったら駄目ですよ・・・まだ、秘密なんですから」


 騎士に駄目と言われて、八百屋の親父さんはなにか思いついた表情をした。


「わかった。今回の件、団長さんに言わないでおく・・・その代わりその事を俺たちにこっそりと聞かせてくれ。お前もそれでいいだろ」


「え・・・ん~~」

 

 八百屋の親父が、突然、43番の方を見てきて同意を求めている事を悟り、こくりと頷いた。


 騎士は、その提案に悩んだ。


「わかりました!今回だけですよ・・・誰にも言ったら駄目ですからね!」


「わかった」


「今からとある貴族の屋敷に行くんですよ・・・そこの貴族の当主が昨日の夜、暗殺者によって殺されたんですから、今、騎士団で調査してるです」


(・・・・っ!!)


 その内容とは、43番に一番関わりがあることだった。


 そのことを気づかれないように、興味なさそうにポーカーフェイスに徹した。


「へぇ~俺たちが知らない間に、そんな物騒なことが起こっていたんだな・・・まあいいなんでその貴族は殺されたんだ、そんな恨まれることしていたんか?」


「どうなんですかね・・・・思い当た・・・あ!・・・・一個ほど悪い噂があるんですよ・・・その貴族は隣国から奴隷の売買しているという噂があることは聞いたことがあります・・・でも、殺されるまでは、行かないと思いますけど」


(言ったらいけない雰囲気をかもしだしていたのに、話し出すとペラペラとはなすだなこの騎士は・・・・しかも、よく見たら鎧だけ装着して剣を装備してないじゃねか・・・こいつ、本当にこの国の騎士なのか?・・・)


 43番は話を聞きながら、目の前いる騎士について本来、町で見た時に、装備しているはずの剣を付けていないことに気付いた。


 そして、この人物は本当に騎士なのかについて疑問を思った。


「こちらに疑問を投げかけてくるんじゃね!・・・今からお前らが調べるだろうが、でもうちの国、奴隷が禁止じゃなかったか・・だが、死ぬまでではなかったはずだ」


 今いる国は、奴隷を所持や売買は禁止であった、だけど罪に関して重罪であるが処刑や殺されほどではなかった。


「そうなんですよ・・・それに、屋敷は多数の防衛の魔道具と魔法をほどこされていて、相当のお金を使って外からの侵入はできないようにしていたとは思います。だから、僕が呼ばれたんですけどね・・・・・」


「・・・・それはどうゆうことだ」


「・・・・・え!?」


 さっきほどまで、話を聞いていても興味なさそうにしていた43番が質問され、騎士はびっくりした。


「えっと・・・見ないとわかないんですけど、魔道具ってとっても高いですよ。安いものでも、平民の一か月分の食料から『そういうことじゃね!』・・!!」


「・・・えっと・・・えっと」


「わからんのか・・・・はぁ~・・・さっき言っていただろ。お前がなんで呼ばれた理由はなんなのか質問しただけだ」


 43番は騎士に呆れ、疑問に思っていることを説明した。


「そういうことだったですね・・・えっと、今の事件の証拠がなくて調査が行き詰っているので、そこで僕が使っている魔法です。魔力を可視化する魔法を持っているので、この能力を使って、僕が見える範囲で見えない証拠も見つけ出せないかということで、僕が呼ばれたんですよ」


(・・・・聞いたことがない魔法だ。それが本当だったとしたら、魔力感知の範囲外からの魔法も見ることができるという事になる。索敵魔法は人間や動物などの生きている生命にはできるが、’’やっている事’’に判断がつかん)


 43番は索敵魔法に苦い思い出があるのかその魔法に関心を持った。


 実際に、対魔法に関しては魔力感知があるのだが、自分の周りの半径15メートルに魔法に通過したら判断できるものであって、遠距離魔法攻撃には弱い。


 それにともなって魔力を可視化する魔法は、見える範囲で魔法を確認することができ、遠距離魔法攻撃がきても見ることで早い段階で判断することができる。


「へぇーそんな魔法があるんだ。でも、なんで見えない証拠がわかるんだ?」


 親父さんは、魔法には詳しくはないが騎士が言っている証拠について詳しく聞いた。


「えっとですね・・・先ほど僕の魔法は魔力を可視化するといる事を言ったと思うですけど・・・・もし、魔法が使われたらその場に魔力残留が残ります。その魔力残留をこの魔法で見ることができ、そのことからどの辺で魔法が使われたのか確認することができるんです。」


(・・・・・!!)


「そういことだったんだな。・・・お前のことポンコツだと思っていたのに、そんなすごい魔法が使う騎士様なんだな」


「ポンコツってなんですか。ポンコツって・・・僕も頑張っているんですよ」


「すまん、すまん・・・でも、お前さん・・・今時間大丈夫なのか。その事件の場所に急いでなかったのか。」


「・・・・あ!・・・・忘れてた。・・・・やばい。遅れたら団長にまた怒られる。いそがなくちゃ・・・すいません。失礼します」


 そう言いながら、騎士は急ぐように走っていった。


「またって、やっぱりポンコツじゃねぇか。お前さんも事件に関しては興味なさそうにしていたのに、あいつのことをいきなり聞き出してよ」


(・・・・っ!失敗だった。暴かれる方法があるのだと思って、確認を詰めるように聞こうとしてしまった。結局は、’’はやとちり’’だった。)


「・・・・・あ~ぁ・・・どんな方法であるのか気になってしまって・・・・昔に、俺の親を突然殺されることがあって犯人が誰なのかが分からなくて、無解決事件になったので、そのことから見えない証拠がわかると聞いて、質問した」


 43番が誤魔化すために、言った言葉が親父さんの顔がにごって、聞いて申し訳なさそうな顔になった。


「・・・・聞いてすまん。お前さんも辛かっただな。・・・・・まぁこれに関してはここだけだからな!・・・・これ少しサービスをしてやるよ」


「ありがとうございます」


 43番はそんな会話を最後にし、八百屋をあとにした。

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