第Ⅰ章 第4話

「瑠璃、これ、さっき話してた本だよ」

私は、リビングルームに戻ると、瑠璃に話題に出てた「瑠璃色の初恋」を渡した。


「ありがとう。そろそろ出る?」

瑠璃は私に聞いた。


「そうだね。早めに行って準備しようか」

私はそう答え、出掛ける準備をした。


支度を終え、部屋を出て、自宅のマンションを瑠璃と共に出て、私と瑠璃は、表参道の駅まで歩いた。


「そういえば、最近、お兄さん見ないね?前は呆れる位、カフェの常連で通ってたでしょう?」

瑠璃はそう言った。


私には、4つ年上の兄・水樹学都がいる。彼は瑠璃が引く程のシスコン。私が横浜の実家を出たのは、そんな兄のシスコンに耐えきれなかったのだ。


「兄さんは良いよ。あの人、父さんと同じ位、過保護気味だもん。前なんて、私の部屋に侵入してたのよ。呆れるわ」

私は愚痴った。


「あはは。私は、一人っ子だからその感覚は分からないな」

瑠璃はそう笑った。


「笑い事じゃないんだって、瑠璃」

私は笑う瑠璃にそう言った。


「ごめん、桜花」

瑠璃はそう謝った。


「良いよ。今日も頑張らないとね」

私はそう言った。「うん」

瑠璃はそう答えた。


私と瑠璃は表参道の裏道に佇むカフェ・チェリーブロッサムに着くと、お店に入った。


すると「あ、おはようございます、店長、瑠璃さん」

そう言い、声を掛けて来たのは、チェリーブロッサムの店員・槇原雫だった。

彼女は私と瑠璃よりも早くお店に来るのだ。

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