第45話  抱月母刀を習得できない

「やっぱりできない」


 剣を振ってもできていないことだけがわかる。

 おじいちゃんはめぐりを知ることじゃとだけいつも言ってくれる。


 意地悪で言ってるわけじゃないと思う。

 本当にそうだと思う。

 自分の本当にやりたいことがわからない。

 そればっかり悩んでる。


 私の心は凍ってるんじゃないかととぎどき思う。

 子供の私はどこ?

 だから、私はやりたいと思ってることにすごくこだわっちゃう。


 抱月母刀を習得すること。

 歩夢くんのママになること。


 この二つを追い求めない私だと前の私に逆戻りしちゃう気がする。


 そんなのは絶対に嫌だ。

 あー、1人になりたい。

 あらゆる刺激なんていらない。

 ただ静かさが欲しい。

 ※


「こんなところにいるんですね」


「誰っ!」


 顔を上げると美咲ちゃんが目に入った。


「自販機と自販機の間に入っちゃって、猫じゃないんですから」 


 私は本当に1人になりたい時は、校舎の隅にある自販機と自販機の間にうずくまる。

 メガネ越しに美咲ちゃんはニヤニヤしている。


「少し私と話しませんか?」


「本当にその格好だと誰だか分からないね」


「地味子ちゃんですよ、めぐり先輩」


 メガネをかけて、ダボっとした格好の美咲ちゃんがいる。


 手元には本を持っていて、胸も服で隠されて私たちの知っている美咲ちゃんと雰囲気も真逆だから誰もわからない。


 それに話しかけづらい雰囲気がある。

 可愛いのだけは分かる。

 これだけしてても美咲ちゃんは可愛いんだから本来のスペックはどうなっちゃうんだろうと思う。


 私は知ってるけど。


「この際だから言っときますけど、私はハーレムには入りませんよ」


「前に言ってたもんね」


 私が微笑むとそれ以上の笑顔を美咲ちゃんは見せつけた。


「私の幸せは私が見つけます」 


「そうなんだ」


 あまりに自信ありげな美咲ちゃんに対して、そうとしか言えなかった。


「愛すばっかりが恋愛じゃないですからね、女なら愛されるのも大事か」


「美咲ちゃんはそう考えてるんだぁー」


 すごいなぁー美咲ちゃん。

 前向きだなぁ。


「歩夢先輩にはたくさん人を愛せる余裕なんてありませんよ、それに1番合うのはめぐり先輩ですから」


 美咲ちゃんはそう言って俯く。

 そう言ってくれるのはありがたい。

 ありがたいけど。


「どうして歩夢くんが好きか分からないの!」


 あんなに好きって言ってくれるのにどうしても納得できなかった。

 だって。


「私本当の自分がわからないの」 


 私は叫んだ。

 そんな私を前にして美咲ちゃんは動揺もしていなかった。  


「突然ですが、めぐり先輩」


「なーに、美咲ちゃん」


 美咲ちゃんの様子が気になる。


「何もしないってできますか?」


「え、あんまり得意じゃないかなぁ」


 何かしないと落ち着かないし。

 つい動いちゃうなぁ。 


「休むとも言い変えることができますけど」


「少しはしてるつもりだけど」


 しっかり休息を取れておるかは自信を持っていない。


「そこに本当の自分のヒントがあると思ってます」


「今の美咲ちゃんは本当の私なの?」


「もちろん、私の地味子モードだって本当の私じゃありません」 


 美咲ちゃんは首を静かに振った。


「でも好きです」 


 そう言って私の目を見つめてきた。


「他人に見られる前提の私は本当の自分じゃありません」


「そうなんだね」


「ただいるだけの自分、誰にも邪魔されない自分だけの自分」


 美咲ちゃんがポツリと呟いた。


「そんな自分を見つけるために何もしないことは大事です」


「さっきの話とここで繋がってくるんだね」


 少しだけ納得した。

 自分の言葉にまでは消化できないけど。


「私はただ1人でいる自分の時間を作るためにこんな自分を作り上げたんです」


 美咲ちゃんはそう言ってくるっと回った。


「歩夢先輩の前の私だって本当の私じゃありません、対歩夢先輩バブみモードの私は好きではありますけどね」


 美咲ちゃんはウィンクをした。


「さて、本当の私はどこにいるでしょうか?」


 美咲ちゃんは人差し指を頬を突きつける。


「ここにずっといます」


 今度は人差し指を自分の胸に向ける。


「それだけの話です」


 美咲ちゃんはそう言って目を瞑った。


「私は幸せな結婚をする予定ですので、めぐり先輩はせいぜい足掻いてください」


 美咲ちゃんはふっと笑って立ち去っていった。

 改めて思う。

 私はあの子に勝てた気が全くしない。

 なぜ歩夢くんに私が選ばれたんだろうかと改めて考える私だった。


◆◆◆あとがき、お礼、お願い◆◆◆


ここまでお読みいただきありがとうございます。


というわけで、


久しぶりに美咲ちゃんが登場したがお話です


さて、


もし、


めぐりちゃん大好き、かわいいよぉ〜


美咲ちゃん、素敵


この話面白いっす


と思ってくださいましたら、


♡、☆☆☆とフォローを何卒お願いいたします。


レビューや応援コメントを書いてくださったらできるだけすぐ読みますし、返信も速やかに致します。


さてさて、次回は昨日の話の続きです、歩夢くんとめぐりちゃんがついに対決します


更新は6月12日6時ごろです


 

 

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