第2話 妹
私には大好きな姉がいる。
物心ついた頃から、いつもそばにいてくれた。
彼女は私の半身であって、私も彼女の半身。
私たちはふたりでひとり、離れることなんて一生無い。
私たちは互いに編み込まれた縦と横の糸のようなもの。
そんな私の気持ちが綻びはじめたのは、中学に入ってすぐの頃。
たまたま絵画コンクールで優秀賞をもらった。
お父さんとお母さんはいっぱい褒めてくれたけど、姉は褒めてくれなかった。
今までずっと同じだったから寂しかったんだと思う。
だから、学校から返却された絵をすぐに破って捨てた。
それなのに……。
別の絵画コンクールで姉が最優秀賞をとった。
「ほら、
姉の笑みはいつものまま。
けれどその言葉は鋭く私の心をそっと裂いた。
並んで歩く道のはずだった。
同じ色に染まるはずだった。
絡み合うはずの糸が揺れ、ほどけてしまった気がした。
高校に入って私はある男の子を好きになった。
すると姉は当たり前のようにその男の子に告白して付き合い出した。
でも私は、それを予想していた。
姉の私への愛情はすこし歪んでいる。
たぶん無意識にやっていると思う。
だから私は変わることにした。
いつまでも夜空を見上げる湖面ではいられないのだから……。
湖畔に寄り添う月のように あ、まん。 @47aman
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