第7話 意に反した仕事。
熊やイノシシや野鳥ではなくて、人殺し。Hは、ミセス・ジェリーに言う。
「私には、出来ません。例え、警察署のお墨付きの仕事であってでもです。
スナイパーなんて、お断りします。たとえ、悪徳政治家や大物でも、人間です。温かい血が流れています。警察署の方で検挙すればいいと思います。何も殺すことはない。」
「報酬は弾むわよ。いいの?5000万円からよ。」
「結構です。人を殺してまで、お金なんかほしくありません。」
「じゃあ、この店を辞めてもらうわ。できないというのならね。人を殺せないのなら、あなたが食べれなくなって、死ぬのよ。あなたが犠牲者になるのよ。いいのですか?」
「私は、お金よりも大事なものがあることを知っています。職業なら、他を探せばいいところなんて、いっぱいある。私が、喜込んで、犠牲者になりましょう。」
「あなたは、変わっているわ。敵を殺してまで、自分が生きるのが世の中の仕組みよ。あなたは、美味いご飯を食べたくないの?」
「結構です。私は、小さな幸せがあればいい。己の成功なんて望まない。生きて、楽しければいい。グルメ料理なんて食べたくない。マリーの心のこもったご飯を食べるだけで幸せ。テーブルマナーなんてどうでもいい。でも、正直なところ、この店は、辞めたくないです。」
「じゃあ、やってもらうわ。Hよ。意に反した、嫌なこともやるのが仕事よ。」
ミセス・ジェリーは言った。
生きるためには、意に反したこともしなくてはならない。
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