第16話






 机を挟んで二人は向かい合っていた





「生里君………どうして君はそんなことをしちゃったんだい?」





 一人は窓の方に視線を向けながらそう質問をした





「俺だってやりたくなかったんだ!でも、気づいたらこんなことになってて……もうこれからどうしたらいいのかわかんなくて……」






 生里君、と呼ばれた少年は自分の罪を後悔しうなだれていた






 それをみたもう一人の少女は少年の肩に手を置き





「大丈夫、今ならまだやり直せるはずだ!!」



「で、でも………」





 瞳が不安で揺らいでいる





「私を信じるんだ。……君は一人じゃない!……」





 少年は自分にはまだ道が残されていることを知り、涙を流したのだった









 ◇◇◇







「いや今の茶番は何!?」




 沙希はついにツッコんだ





「何って……この道10年のベテラン女刑事が一時の過ちで犯罪を犯した少年に救いの手を差し伸べる場面を演じてみただけだよ?」






 心底不思議そうな顔をする未夏






「ねえ圭ちゃん!?これが普通なの!?私がおかしいの!?」






 自分と同じ意識の仲間を集めようとする







「え?これが普通じゃないの?」









 おかしいやつに『自分は大丈夫なのか?』と聞いたって意味はない







「もう嫌だーーーー!!」






 近所から苦情が聞こえるほどの声量で叫ぶのだった













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人生分かれ道が多すぎたので自由気ままに生きてみる 天垂石 @amadareishi

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