第二章 ミネラルキャット
私は、私の世界で現世利益の証明を取り、他の人も今はいるが、諸外国に旅立っても、ウーロン通りの知り合いで、本当はいなくちゃ始まらない中国マフィアに、また、面倒を見てもらうだろう。
果てさて、私はすでに白亜となったが、何故、仲間の悪路王が理想の国民に紛れているのか。それは腐ったとされた人格が素材とされ、白亜になっても外灯盤をなおす羽目になったのと同じ理由だ。
研究所は理想の国民を、彷徨わせ、逃げたにするために活動するとして、研究所は悪だから祝福にならないとしたが、祝福になったら他人に負けたとして、白亜を解放する。
私はウーロン通りに程近い仲間だけの世界に帰るために、現世利益の世界で活動をしていた。
無声映画は外壁だ。
無声映画が棘とされた時、モデルが縮小化されススクリームの映画のようになるため、無声映画をライトノベルのように拡大すれば、モデルとされた多数が、理想の国民の身代わりを果たす。
だから、拡大のために、緻密な作業が必要なのだ。
無声映画が不死身にならないようにするために、カマキリを潰した。
カマキリはきっと、サンドワームのようになるだろう。
白クマミネラルファンデーションは私だ。
さすがにウーロン通りともなるとミネラルで、化粧品が作れなかったらしい。
化粧品が無いと困るので、物を用意した。
フォーラムで箱を潰せば、後処理は完璧だ。
いらないのに人を助けていた分、悪路王となれと、研究所が言う。
悪路王の兵士となった時の話をしよう。
「理想の国民が一瞬で逃げた」
「一瞬が腐り、本人を消した力をもつ化け物となり、その力をもって人を襲うことが、特殊能力とされた」
「殺戮に次ぐ殺戮」
「かつての魔女狩りが変貌し、人を襲う化け物が潜伏しているから、何も解らない者同士、疑いによって人を処刑する処刑日の国があった」
そこから、私に声をかけた町娘が、私を非難したらしい。
悪路王を脅す手段もめちゃくちゃだが、特殊能力によって、本当にそれが成り立つらしい。
ある者は、檻を構えた。
「絶対に死ねない、檻によって管理する」
悪路王を脅しつける。
街では本人でしかない奇形が量産され、住人を困らせていた。
「出来る」
「出来ない」
に、やたらこだわる檻で、実際に犯罪に手を染める者もいた。
「公共機関は、檻」
の、名の元に、公共機関を撤廃する街もあった。
無法地帯と化していた。
その魔女狩りの街で、白亜であるとされた存在が出た。
このことにより、悪路王の兵士であった私が目をつけられたらしい。
私は、
「魔女狩りから白亜が出たのなら、その人が白亜として活動すればいい」
と、許可を出した。
すると、鳩が豆鉄砲をくらったように、申し出が混乱した。
このようなことがあると、粛清の住み処が出るらしい。
粛清の住み処とは、神話になった理想の国民が、果実の世界を築き、研究所に雫を与える存在となったが、
「バグが発生した」
と、見なされると、全て消され、新しく作りなおされることで、その粛清が一瞬として腐ると、粛清が集まり、住み処とされる。
魔女狩りの国が粛清の住み処となるのは叙勲のようなもので、勲章を得られるならいいではないかと、私は、結局、断った。
すると、何処からともなく、神殿が現れた。
「処刑日の国の法律を、知っていますか? あなたがバカだと言う、理想の国民は、あなたです。王城で経歴があった分、イキているのなら、隣人のために尽くすべきであり、全てが一瞬で終わるのだから、一瞬としてイキなさい」
要するに、
「檻に入れ」
だった。
私は、悪路王に頼んだ。
「おヒマを下さい」
すると、悪路王は言った。
「ヒマをやるなら別にいいが、ヒマになって何があるとも思えない。白亜のために、俺も、手を尽くそう」
白亜になれるといいですね。
なれる。
とにかく私は、原因の解明を急いだ。
どうやら、経歴が問題で、経歴から王城が、私の足跡をつかんでいるらしい。
だから、経歴が解らなくなれば、騒ぎが収まる。
悪路王は、神殿と交渉をした。
幾度かの交渉の末、神殿が折れ、代わりの条件を出した。
私はその条件の中から、
「中国マフィアのところに行く」
ことに決めた。
名残惜しいが、悪路王ともお別れだ。
私は、悪路王と会話をして、外国に飛び立った。
落ち着いたら、悪路王のところへ遊びに行ってもいいかもしれない。
「うん」
私は、ふと気になって、サンドワームの討伐に行くことに決めた。
白亜としてサンドワームの討伐に行くことは、石油の油田を守るために重要で、何処ぞの誰かのように石油を消すわけにはいかない。
見栄を張るために他の世界で分不相応な身分をもって、階層の上に立つために、
「サンドワームの討伐をやめた分だけ、高いステータスを要求する」
なんて、他の世界に言いに行っては、粛清の住み処として、檻に入れられる。
檻から出るために、
「他人が落ちた分だけ、粛清だったことになり、責任を捨てた分だけ、責任が取れてないから、自分を粛清にしてきた他人が悪くて、自分がかわいそうだから、麗しい姿に戻る」
だなんて、羽根信仰もよくやる。
その羽根を機械の羽根にするために、研究所が一番住めるいい世界を失った分だけ、羽根となるだなんて、蒸気機関も泣くね。
だから全てが雫らしいけど、私は蒸気機関の世界ではないから、関係が無い。
色んな考え方があるけど、人それぞれだね。
好みの問題好みの問題。
「ふーっ」
私は愛用のマスケット銃を抱えて、ベルファイアに乗り込んだ。
ベルファイアっていうのは、4WDのハイブリットカーで、ボディカラーはブラックのトヨタの車だ。
後部座席に、狩りの荷物が積み込まれている。
お腹がすいた時のために、カップラーメンもたくさん入ってたりする。
カップラーメンのお湯は、水筒で十分。
冷めない冷めない。
マスケット銃は、助手席だ。
隣に乗せる恋人でもいればいいんだけどねー。
カチッと、私がボタンを指で押すと、カーラジオが流れた。
私はエンジンを起動させて、車を発進させた。
サンドワームの狩り場までの経路は解っている。
アスファルトの上を、ベルファイアは疾走した。
ラジオを聞き流していると、流行りのランキングが色々発表されていた。
「カウントダウンラジオ」
チェキラウ。
けっこう、ためになる番組で、今日はタイミングがいい。
「あっ」
そういえば、ドーム球場くらいの通路のダンジョンでは、徒歩ではなくて、車で入ると聞いたなあ。
機会があったら、ベルファイアで入って、探索でもしたいもんだ。
街角を通り抜けて、スイスイと車を滑らせて、私は目的地に辿り着いた。
荒涼とした砂地だった。
いや、砂地というより、大砂漠。
黄色い砂塵が吹き荒れて、視界を黄色く染め上げた。
キムラック教会周辺地区にも似てる大砂漠で、私は、サンドワーム討伐を開始した。
盛大な轟音をあげて、砂の中から、巨大な砂色の巨大な管がうねっている。
凶暴なサンドワームだ。
サンドワームはミミズのようにつやつやしているので、周囲との見分けはついた。
あんまり近づきたいとは思わない。
それにしても、何でここが石油なのだろう。
私は、ベルファイアを降りて、キーをロックした。
マスケット銃を抱えて、戦地に向かう。
強い風に、髪がたなびいた。
私はマスケット銃を構えて、引き金を弾いた。
サイレンサーから軽い音がして、金色のダムダム弾が高速で射出されて、直線に弾道を描きながら、サンドワーム目がけて飛んでいく。
ダムダム弾とは、普通のバレットとは違い、標的に当たると弾の先が潰れて、肉が弾け飛ぶ仕組みになっている。
マスケット銃から肉をかすって地面に落ちたダムダム弾を拾ったことがあるが、弾の先がタコの足のように潰れて開き、幾重にも割れて薄い金属がめくれ上がっていたのを見たことがある。
殺傷力が高い凶悪な弾だった。
弾が皮膚を貫き、一瞬にして、サンドワームの中にのみこまれた。
えもいわれぬ悲鳴を上げて、サンドワームは巨大なミミズのような身体をくねらせ、狙撃したのは誰かと探っているようだった。
私は続け様に、マスケット銃の引き金を弾いた。
凶悪な弾がサンドワームに襲い掛かり、身体に穴を開けていく。
サンドワームは私を感知したらしい。
巨大な身体を砂から盛り上げて、私を見下ろした。
サンドワームの管の頂点は牙だらけの口で、管の直径が口になってしまったのかと思うような形状だった。巨大な口腔から糸引くよだれをたらし、ピンク色の舌を覗かせて威嚇する。
サンドワームは口から砂球を吐いた。
バスケットボールほどの球がものすごい速さで私目がけて飛び出した。
私ははっとして、防御魔術を展開させた。
透明な障壁が私の周囲を取り囲み、サンドワームの砂球が霧散する。
直撃の前に砕け散った砂塵が舞う中を、生体強化の魔術によって身体能力が飛躍的に上がった身体で、疾駆する。
ドオン
という大きな音を立てて、サンドワームは私が今まさにいたはずの地点に体当たりして、砂がミルククラウンのように舞い上がる。
私は、砂に足を踏ん張り、華麗にストップすると、マスケット銃を構えて引き金を弾き、一撃、二撃と立て続けてにダムダム弾を放った。
「ギャオウ」
サンドワームはたまらず悲鳴を上げた。
急所に当たったか。
ぐったりと力を抜いてしなだれるサンドワームを注意深く見やりながら、マスケット銃の弾倉を外し、新しい弾を込めなおす。
弾種は変わらない。ダムダム弾だ。
ギリギリと音を立てて、サンドワームの肉質が変化した。
引きつれるように砂色の皮膚に模様が入り、凶悪に変貌する。
サンドワームは、唐突に、地鳴りを起こした。
大地が震動し、砂は柔らかいのだから、あるはずもない瓦礫が組み上げられ、サンドワームの周りを岩状に崩していく。
私はサンドワームの地鳴りによって、震動する地面を生体強化の魔術で強靭になった筋力でいなしながら、弾け飛んだ瓦礫の強襲を高速でステップを踏んで回避する。
リズミカルに左右の足を動かしながら、上半身をひねり、つぶてを回避すると、開けた瓦礫の隙間に、弾道を放った。
ヒット。
私はうねって暴れるサンドワームに照準を絞り、標的を目がけてマスケット銃をうならせた。
サイレンサーのせいで派手ではないにせよ、的確な狙撃により、弾は全てサンドワームに当たり、穴を開けていく。
そして、私は、さっき見つけた急所に向かって精密射撃をした。
パンパンと音が鳴り、サンドワームはうねってとぐろを巻いた。
油断は禁物。
私は、口の中で魔術の詠唱をすると、身体から世界から、エネルギーが満ち溢れ、魔術を形成していく。
私は溢れ出る魔導を、サンドワームに放った。
燃え盛る業火に焼かれ、サンドワームは燃え上がる。
抵抗するように身体をくねらせて、サンドワームの命の炎が消えていく。
そうして、業火が沈下した後に残ったのは、くすぶりになったサンドワームの死骸だった。
魔術の業火の余波からか、砂漠の乾いた空気の中に、熱気が籠もっているようだった。
黄色い砂塵を舞い上げる風は相変わらずだが、魔術の熱は冷える様子は無い。
魔導が落ち着いたら、空気の中に溶け混じるだろう。
私は、サンドワームの死骸に近付き、砂になって崩れ落ちるかのようにうっすらと存在を消していく様子を見送りながら、戦利品を探した。
「うん」
あった。
宝箱のようだった。
私は宝箱を開けて、戦利品をかばんに詰めた。
たまに、宝箱ではないところに戦利品があったりするので、周囲の確認は怠らない。
「あった」
私は藍色の宝石を拾い上げた。いくつか点々としている。
「これだけ巨大な獲物だからね」
私は独り言ちた。
ひと狩り終えた私は、ベルファイアに乗り込んだ。
監査がついているわけでも、ノルマがあるわけでもない狩りだ。
このほうが気楽でいい。
私はベルファイアのエンジンをかけて、車を発進させた。
「カウントダウンラジオは終わったかあ」
残念。
まあ、数十メートル級のサンドワームを倒したことだし、懐は温かいけどね。
私は、軽快なエンジン音をかけながら進む車を、運転する。
「ダムダム弾を使うなんて、大変だな。ダムダム族って言ったら、あれだ、ドワーフの亜種で、ドワーフっていうやつは物造りが得意だけど、ダムダムになってくると赤道の首狩り族みたいなやつらで、その魔導を使うってなると、お前も大変だぜ」
馴染みの武器屋のあんちゃんの台詞だ。
確かに、ダムダム族というのはそうだ。しかし、サンドワームを殺す業を考えると、肉を傷つけるのに適切な素材というものがあり、物足りないサイレンサーと言われるが、サイレンサーとしての美学がある。
処刑のセンサーにかからないために、全てを気にならないで終わる。
そうすれば、余計な呼び出しにかからない。
私はゴミを捨てるにも、リサイクルのこだわりがあるのだ。
ゴトリ
と、音を立てて、ダムダム弾がカウンターに積まれていく。
サンドワーム退治はよく行くわけでもあるし、買い溜めしておくのもいいだろう。
「毎度あり」
武器屋のあんちゃんに金を払うと、景気のいい声が返ってきた。
武器屋のあんちゃんは、言う。
「ボディペイントでもすんの?」
「ああ、鏡のこと? んー、気になったら、ミサンガ買おうかな」
私は答えた。
ミサンガねえ…。
私は思った。
願掛け用の手首に着ける紐がミサンガで、解りやすいビビットカラーをしているものが多い。
「うん」
ネイチャーライフのゴムブレスレットみたいだなと思ったりした。
チャリティーで、願掛けするのなら、別にそういうんでもいいけど。
私は煙草の紫煙をくゆらせる。
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