異世界転生録
@masuken0319
第1話 物語の始まり
森の中を歩き続け、ようやく視界が開けた。そこには小さな村が広がっていた。現代の日本とはまるで違う風景が目の前に広がる。土壁の家々が並び、屋根はわらで葺かれている。まるで中世のヨーロッパのような佇まいだ。日本家屋とも違う、異世界の村という印象を強く受けた。
「ここはどこだ……?」
私は首を傾げながら、村の入り口に立っていた。記憶が曖昧で、どうしてこんなところにいるのかさえ思い出せない。ただ、体にケガはないし、服も普段着ているようなものではないが、特に不便は感じない。むしろ、この異様な状況に戸惑いを隠せずにいた。
村の入り口には、木製の簡素な門があり、その脇には小さな看板が立てかけられていた。文字は見たことがないが、なぜか不思議と読める気がした。
「民の村……?」
ふと、そんな言葉が頭に浮かんだ。民の?そんなも名前の村があるのか。見たことない文字を、直訳してあるのか。しかし、この村の雰囲気はどこか現実離れしている。もしかしたら、本当に異世界に転生してしまったのかもしれない。
そう思っていると、村の中から一人の男が近づいてきた。年齢は40代後半くらいか。髭を生やし、質素な服を着ている。彼は私を見るなり、警戒したような目を向け、手に持った長い棒を私に向けた。その棒には刃はないが、どうやら武器として使えるものらしい。
「何者だ?」
男の声は低く、威圧的だった。私は慌てて両手を上げ、敵意がないことを示そうとした。
「い、いえ、別に悪い者ではありません!ただ、ここがどこなのか分からなくて……」
男は私の言葉を聞き、少しだけ警戒を解いたようだったが、まだ棒を下ろすことはない。
「ここは私達の村だ。お前はどこから来た?なぜこんなところに?」
「ここはどこ……?」
私はその自分の言葉に少し驚いた。そして相手も驚いていた。
もしかして、この世界では自分の知らない暗黙のルールがあるのかも知れない。何か礼儀があったのか、無礼を働いてしまったのか、しかしどこか軽蔑あるかのような目つき、態度が含まれているように感じた。
「えっと、私は……どこから来たのかもよく分からないんです。気付いたらこの森の中にいて、村を見つけたので……」
男は私の言葉をじっと聞き、しばらく考え込むような素振りを見せた。そして、ようやく棒を下ろし、ため息をついた。
「……まあ、とりあえず村長に会ってもらおう。お前のような人間がここに来るのは珍しい。村長がどうするか決めるだろう」
彼はそう言うと、私を村の中へと案内し始めた。私は彼の後について歩きながら、周りの景色を眺めた。村の中は静かで、人々はそれぞれの仕事に勤しんでいるようだった。しかし、その人々の姿はどこか普通の人間とは違う。身長が高い。そして皆長髪で裸足の生活。
「やっぱり、ここは異世界なんじゃ……」
私は内心でそうつぶやいた。そして、この世界が本当に異世界であることを改めて実感した。
村の中心にある大きな建物に着くと、男は中へと入っていった。私は少し緊張しながら、その後に続いた。中は広いホールのような空間で、奥には立派な椅子に座った老人がいた。その老人は、私を見るなり、鋭い目を向けてきた。
「これが、森で見つかった人間か?」
老人の声は低く、威厳に満ちていた。男はうなずき、私のことを説明し始めた。
「はい、村長。彼は記憶が曖昧で、どうしてここにいるのか分からないと言っています」
村長は私をじっと見つめ、しばらく沈黙した後、口を開いた。
「お前の名前は?」
「えっと……名前は……?」
私はその質問に戸惑った。名前……そういえば、自分の名前さえ思い出せない。頭の中を必死に探るが、何も浮かんでこない。
「……分からないです」
村長は私の答えに眉をひそめ、深く考え込むような素振りを見せた。
「記憶がないのか……それとも、何かを隠しているのか……」
「いえ、本当に何も覚えていないんです!ただ、ここがどこなのか、どうして自分がここにいるのか、それさえも分からなくて……」
私は必死に訴えた。村長は私の言葉を聞き、しばらく考えた後、ため息をついた。
「……まあ、とりあえずここに留まってもらおう。ただし、村のルールを守ること。もし何か問題を起こせば、容赦はしない」
私はその言葉に安堵の息をついた。少なくとも、ここに留まることが許されたのだ。そして、この村で何か手がかりを見つけられるかもしれない。
村長は男に何か指示を出すと、私に向かって言った。
「お前はしばらく、この村で暮らすことになる。仕事を与えるから、それに従うように」
私はうなずき、村長の言葉に従うことを約束した。そして、男に連れられて村の中を案内されることになった。
村の中を歩きながら、私はこれからの生活に不安を感じつつも、どこか期待も感じていた。この異世界で、新しい自分を見つけられるかもしれない。そう思うと、少しだけ希望が湧いてきた。
「さあ、これからだ……」
私は心の中でつぶやき、新しい生活に向けて歩き出した。
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