最愛の彼女を寝取られた俺は全てを破壊する~NTR現場を見せつけられた後に待っていたのはダンジョンでした~

えちょま

第1話 最悪の始まり

 ※若干の性描写有り。 


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 甘い嬌声。湿度の高い部屋中。


 そこには、見知らぬ男の股に———俺が最も愛する彼女が、腰まで伸ばした長い髪を揺らしながら跨っていた。


「……ぇ……は……?」

「あんれぇ、彼氏くんじゃーん!こんにちはー!」


 フランクに笑いながら挨拶してくる男。そんな男に俺は何も言葉を返さず、ただ目の前のあり得ない光景にその場に立ち竦んでいた。


「り、お………?」


 この状況が理解出来なくて俺は彼女の、新山理緒にいやまりおの名前を辿々しく呼ぶ。


 突然LEINが来たかと思えば、そこには知らない住所が書かれているのみ。最初は何なのか分からなかったけど、もしかして何か危ない事に巻き込まれているんじゃないかと思って。


 そう思って、来てみれば。


 これは、何だ?


「ありゃ、彼氏くん崩れ落ちちゃったよ〜」


 何事も無いかのように、彼女を抱きながら男は笑う。そして、今まで背けていた顔を此方に向ける———“雌”の顔をした、最愛の彼女。


「あれぇ……♡春くんだぁ……♡」


 蕩けきったその顔で俺の、篠宮春斗しのみやはるとの名を親し気に呼んだ。


「……!理緒……!一体どう言うことだよ!?何でその男と……!」


 その顔と甘い声に、俺は堪らず堰を切った。俺の言葉は彼女にしっかりと届き、彼女は少し思案すると。


「ごめんねぇ春くん……♡私もう、この人のモノだから……♡」


 そう言って男の頭に手を回し、行為を再開する彼女。そのやり取りを、男は相変わらず愉快そうに眺めているだけだ。


「ど、どう言うつもりだよお前も!!理緒を……俺の彼女を返せよ!!」


 その男にも腹が立ち、問い詰める。しかしそんな様子の俺を物ともせず、男は鼻で笑った。


「はっ。彼女も碌に満足させれねぇ奴が一丁前にほざいてんじゃねぇよ!」

「ま、満足って……!俺は今まで理緒に尽くしてきたんだぞ……!」

「くくくっ。だってよ、理緒?」


 何がそんなに面白いのか、男は豪快に笑いながら未だ腰を振り続ける彼女へと問う。


 大丈夫だ。理緒はただ、こいつに襲われて、脅されてるだけで……!!俺は理緒を信じて———


「全然満たされなかったよぉ♡」

「………ぇ?」


 その答えに、耳を疑った。


 パリンッと、何かが砕ける音がした。


 そんな事お構いなしに彼女は続ける。


「幼馴染だから付き合ってあげてたけど……身長は私よりも低いし、声は小さいし、陰キャだしパッとしないし、いっつもプレゼントとかしてくれてたからお金はあったかもだけど。一回もシてくれなかった……」


「でも今はこの人が全部満たしてくれる♡春くんみたいな“弱い”男じゃなくて、“強い”男のこの人が♡」


「………ぁ、ぁ」


 恍惚な表情で、彼女はそう言い切った。


 声が喉元でつっかえて出ない、出せない。意思に関係なく、目から涙が溢れているのが分かる。


「あ〜!彼氏くん泣いちゃった〜!でもでも!彼女を満足させれなかった、“弱い”君が悪いよね〜!」

「ぐッ」


 理緒をベットの上に投げ、全裸で俺の前まで歩み寄って来た男はそう言った。そして玄関で崩れ落ちている俺の肩を強く押すと。


「じゃ、俺達は続きするから!ばいば〜い!」


 俺を締め出し、乱暴に扉を閉じた。そして再び中から聞こえてくる嬌声。


 部屋に押し入り、締め出されるまでのこの間、たったの五分。


 俺は人生で最も愛した彼女と過ごした時間の、百分の一以下にもならない五分と言う僅かな時間で———


「あああぁああぁああ……!!!!」


 ———ただでさえ矮小な尊厳も、俺の人生とも言えた彼女も、全て。俺は全て失ってしまったのだった。



 ◇



 道行く人々に好奇の目を向けられながら、おぼつかない足取りで家路へと着く。


 涙で視界がボヤけるし、何より吐き気が酷かった。


 理緒の言っていた事は全て事実で、背は高校生なのにも関わらず163cmと低く、そのくせ声もボソボソ小さくて、学校では理緒以外と喋れない陰キャで、でも見栄だけは張ろうと苦手な接客業のバイトを頑張ってお金を貯めてプレゼントを買って……。


 ———あぁ、本当に……こんなにも“弱い”自分が、嫌になる。


 度重なる自責がどんどん俺を苦しめて行って、人目も気にせずその場に蹲る。気持ち悪くて、まともに立てない。雑踏の音が耳に入らなくなり、甲高い耳鳴りが鳴り響く。


「………?」


 そして少しして気付く違和感。少し熱を持っていたアスファルトが、急激にひんやりと冷たくなっていた。涙でぐちゃぐちゃになった顔を上げてみれば、そこは———


「……ここ、何処だ?」


 ———無機質な石壁が向こうまで続く、ひんやりと冷たい“異空間”の回廊。先ほどまで辺りを行き交っていた人々は皆消え去り、ただ俺一人だけがその場にぽつんといた。奥へと続く闇が、内なる恐怖心を駆り立てる。


「……『D災』」


 極稀に突如として、一般人が『ダンジョン』と呼ばれる異空間へと引き込まれる現象。通称『D災』に遭ったのだと、俺は瞬時に理解した。


 日本での『D災』被害報告は年間に三度。そしてその中で救出された被災者は———〇名。被災から数年後に『ダンジョン』から発見された際には、いずれもモンスターによって食い裂かれて死亡していたのが確認されていたはずだ。


「……本当に、ついてないなぁ」


 紛れもない本心が言葉となって零れ落ちた。何も残ってないお前は、ダンジョンで野垂れ死ぬのがお似合いだと。まるでこの世界に言われたかのような錯覚すらする。


 あぁ、本当に、本当に本当に……この世界は、俺の事が大嫌いらしい。最愛の彼女を寝取られた俺に、まだこんな仕打ちをする世界を……俺もまた大嫌いになりそうだ。


「………ッ!!」


 粗い石で作られた床を抉り取るかのように手を握り締める。だが当然、非力な俺ではそんな力技は出来ない。ただ指先の皮が剥がれ、滲んだ鮮血が床を彩るだけだ。


 でも、今はただその痛みだけが救いだった。まだ俺はこの世界に嫌われていても、存在までは消されていないように思える。


 しかし、それすらも時間の問題だ。ただここに居座っていても、じきに空腹や脱水に見舞われ苦しんで死ぬ事になるだろう。もう今のこの現状に抗うことも出来ずに。


「………いいさ、やってやるよ」


 餓死なんかで死んでしまえば、きっとその場から動きもしなかった臆病者と罵られるに決まっている。そんな何も誇れない人生のまま死ぬのは、絶対に嫌だ。




 だから俺は———




「このままじゃ終われない……!絶対、生きて帰ってやる……!」




 ———このダンジョンから帰還して、唯一の『D災』帰還者として、自分の存在を“変える”。

 



 日陰者から誰もが認める、“栄光者”へと。





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 あけおめでございます。えちょまです。

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2026年1月3日 07:00
2026年1月4日 07:00

最愛の彼女を寝取られた俺は全てを破壊する~NTR現場を見せつけられた後に待っていたのはダンジョンでした~ えちょま @mepuru127

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