#6 奴隷に関われない皇女さま


 私、サーシャが小太り親父から逃げ出して姫様を探すこと数分。私はとある扉の前に立っていた。


「……ねぇな……。これ……アレも出来……」


「もしかして、ここですか?」


 その扉も鍵がかかっていたが、中から僅かに声が聞こえた。それがあの軽薄男の声だと気付くと、私の行動は早かった。


「姫様?! いるのですか?! 返事をしてください!」


 ドンドンと叩いて呼びかけるも返事はない。代わりに聞こえたのは、何やら叫ぶような男の声だけだった。


「……! ……脱げ! ……」


「脱げって、まさか?! 駄目です姫様!」


 唯一聞こえた単語があまりにも最悪すぎた。まだ確証はないが、この部屋の中でこれから行われる事を許してはいけない気がする。その一心で必死にドアノブを回してドアを叩くが、一向にその扉は開かない。


「こんのぉ!!」


 なので思いっきり蹴飛ばした。それはそれは無我夢中で、前世で見た回し蹴りの要領で。


 バキャア!と音を立てて開くドア。私の脚からも同じ様な音と痛みが走った気がするけど、そんな事よりも姫様だ。よろめきながらも部屋に入ると、私の目に入ったのは――


「姫様!」


「うおなんだぁ?!」


 ベッドに乗って膝立ちしていた半裸の男が、振り向いてこちらに驚いた顔を見せてくる。よく見たら半裸どころじゃない気もするがそこはどうでもいい。大事なのはその下で寝そべっている人物だ。


「…………え……?」


 脱力しきった目でこちらを向いた姫様も、普段より更に肌色の面積がマシマシだった。着ていたブラウスの前が開かれていて、その中にある下着を外界に晒している。なんなら下はその最後の砦を残すのみ、上もほぼ剝がれる寸前だった。本当に間に合ったのかコレ。


「まさか妹が心配で、わざわざ見に来たってのか? いいぜそこで指を咥えて見てろよ、ちょうど今から始める所だか――」


「はあああっ!!」


「あぎゃあ?!」


 とりあえず部屋に入ってきた勢いのまま男に近づき、もう一方の脚で回し蹴りを食らわせた。軸足がブレるのと靴を履いていないのとで威力は下がっているが、不届き者をベッドから叩き落とす位は問題なかった。また脚から嫌な感触もしたけども。


「っ……、遅くなりました姫様! ご無事、ではないかもしれませんがお怪我はありませんね?!」


「…………怪我は、ないの……。でも、あと少しで、傷物になる、所で……」


「なってないですから、安心してくださいねハイ!」


 まだ夢見心地なのか言葉がふわふわしている姫様の頬は紅潮し、上がった体温と汗によって全身から蒸れが発生していて、こう、凄く色っぽくなっていた。

 けれどいわゆる本番行為に至ったような痕跡は見当たらなかった。私の見立てでは姫様が抵抗なんてするわけないので、ホントの本当に紙一重だったのかもしれない。


「て、てめぇ……! 奴隷の分際で何しやが――」


「天誅っ!」


「はぎゃあ?!」


 放心中の姫様をシーツで包んでお姫様抱っこ(真)をした所で、床から起き上がってきたのは軽薄男だ。その顔面に制裁代わりの蹴りをもう一撃叩き込み、悶える男の横を抜ける事に成功した。先手必勝、不意打ちはやはりよく利くようだ。


「いたぞ、お坊っちゃまの部屋だ!」


「っ!」


 そのまま部屋から廊下へと飛び出すと、私を探していたのだろう親父の部下たちがこちらへ向かってくるのが見えた。やはり隠れて進むのは不可能と見て、代わりに手元の姫様に目を向けた。


「では姫様、このまま屋敷の外に出ます。姫様の力で案内をお願いしてもいいですか?」


「それは、出来ますけど……。お預けになってしまって、その、身体がおかしいと、いいますか……」


 未だに息の荒い姫様は落ち着かない様子で時折手足を動かし、目を背けている。何がお預けになったのかは聞かないし、そもそもそんな暇はない。

 

「なら後で私が幾らでもケアして差し上げますから! 早くお願い致しま――」


「次を右です。その後10メートル左に階段があるのでそこを降りて下さい。その先のエントランスを抜けて外に出れば正門まで一直線です! そのまま城に戻って第二幕といきましょう!」


「助かりましたけど姫様、なんで更に息が荒くなっているんですか? ねぇ姫様? 姫様?」


 どうにか復旧した姫様が屋敷の壁に触れて、即座に逃走ルートを割り出す。優秀かつ恐ろしい姫様ナビの案内に従って屋敷の廊下を疾走しながらも、私は戦慄を隠せないでいた。

 ここから無事に帰れたとして、その後私は何をしなければならないんだろうか……。

 


「はぁ、はぁ……」


「もう逃げられんぞ、お姉ちゃん!」


 姫様ナビによって屋敷から脱出し、どうにか街道へと繋がる正門に辿り着いた私たち。けれどその頃には復活していた小太り親父とその部下たちに追いつかれてしまっていた。


「やはり、門は開きませんか……」


 念の為に門の格子を手で押すが、開くどころかビクともしない。流石に部屋のドアのように蹴り飛ばす事も出来ないだろう。つまりは正門前に追い詰められたというわけだ。


「サーシャ、あなたもう、足が……」


「流石は姫様。やはり隠し事は出来ませんね」


 心配そうな姫様の言う通り、そもそも私の足がもう限界だ。何度か蹴り飛ばした事の代償は思ったより重いようで、これ以上走れるかも怪しい所だった。


「親父もとんでもないじゃじゃ馬を買ってきたもんだぜ。見ろよ俺の顔の痣、こりゃ相当躾けなおさないと駄目じゃないか?」


「馬鹿な事を言うな、アレはワシのお姉ちゃんだぞ? お前が口を出すでないわ! むしろそうまでしてお姉ちゃんを貫く姿にワシは感動すらしているぞ!」


 そんな崖っぷちな私たちの前で、小太り親父とチャラ息子が親子喧嘩を始めていた。恐らくもう私たちを捕まえた気になっているのだろう。大したものだ。


「あの方の躾け、すごく興味があります……! 一度逃げ出した以上はもう手加減なんてしてもらえなくて、きっと覗いた記憶以上の事をされてしまうんでしょうね……!」


「姫様、もうワクワクするなとは言いませんのでその記憶だけ消し飛ばして貰えませんか?」


「嫌です。貴重なリアルサンプルですから」


 やはり数分でも姫様をあの男に渡してはいけなかったようだ。というかあの短時間で収穫を得すぎてないかこの人。癖になったりしてないか心配になってきた位だ。


「じゃあ親父、今度は姉が逃げないようきっちり捕まえておいてくれよ。妹ちゃんは蝶より花より丁重に扱うから、心配いらないって言い含めてさ?」


「その言葉、本当だな? ワシという弟だけでなく、あの妹もいて初めてお姉ちゃんはその魅力を引き出せるんだ。くれぐれもまた壊すんじゃないぞ?」


 そんな事を気にしている内に、二人とその部下がじりじりと近づいてくる。一気に来ないのは私の抵抗を警戒しているのか、或いは乱戦を嫌ったか。どちらにせよ、私に打てる手は殆ど残っていなかった。


「では姫様、今からあなたをこの柵の向こうへと投げ飛ばします。その後何とか着地していただいて、城か役所まで向かってください。いいですね?」


「ごめんなさいサーシャ、全然よくないです」


 なので最後に思いついた起死回生の一手を伝えたが、真顔で姫様が首を横に振った。


「だってそんな事をしてはサーシャだけが取り残されてしまいます! あなただけが奴隷のままだなんて、そんなの駄目です!」


「よし、それじゃあ投げ飛ばしますので受け身をお願いしますね?」


「え、本当に投げるつもりなんですか!? ちょっと待って欲しいと言うか、そもそもなんで人を三メートル上に投げようとしているんですか?!」


 暴れる姫様を無視して持ち方を変え、上方に照準を合わせる。思ったより回復してきたみたいなので、これならきっと一人でも大丈夫だろう。


 確かに姫様をここから逃がせても、私がここから出る術はない。そうなれば姫様の言う通り、私はそういった扱いを受けるのだろう。

 けれども姫様が無事ならそれでいい。まぁ投げた時に多少無事ではなくなるかもしれないが、それでもここの二人に汚されるよりかはマシなはずだ。

 私はそう信じながら、最後の力を腕に籠めようとして――


 

「――全員、そこを動くな!」

 


 その柵の向こうから、鋭い声が響き渡った。


「先ほど騎士団に通報があった! その確認の為に参ったが、どうやら間違っていないようんだな?」


 馬に乗って屋敷の前に突然現れたのは、白い鎧で武装した紫の髪の女騎士だった。金色の剣を腰に下げたそのつり目の女性の名を、私と姫様は知っている。


、来てくれたのですか!?」


「遅れてすまない、サーシャ。まさかこんな事になっているとは思わなくてな」


 僅かに頭を下げてから馬から降りたのは第三皇女である姫様の専属護衛騎士、ロザリー・バリフラントだ。何故か姫様じゃなくて私に謝ってるけど。

 今日は休暇で非番だったはずなので、このタイミングで助けに来てくれるとは思わなかった。というか何故ここが分かったんだろうか。


「まさか、あのバリフラント家の『紫電』か!? それに通報とはどういうことだ!?」


「最初にも言ったが、先ほど匿名の通報があった。ここの屋敷の主が、決して許されない者を奴隷として手に入れたという旨のな」


「匿名の、通報……?」


 急に現れたロザリーに動揺を隠せない小太り親父。その間にもロザリーに続いて他の騎士たちも次々と到着する中で、私は姫様を地面に下ろしつつも彼女の言葉に考えを走らせていた。

 私たちが買われた事を知るのはあの市場、もといオークションにいた人間だけのはずだ。あの中で通報行為が出来るような人物なんていただろうか……?


「許されないだと? ワシは大金を払って、正式にこの二人を買ったんだ! 今はワシの奴隷、ワシの財産、ワシの持ち物だぞ!? それを奪う権利がお前たちにあるというのか?!」


「何を言ってるんですかこの親父? そもそもこの方は皇じ――」

 

「いいえサーシャ。奴隷を買って契約が成立してしまえば、その時点で奴隷は買った人の所有物になるんです。その契約自体を破棄せずに身柄を確保すれば、それは保護ではなく窃盗になるでしょうね。例えどんな出自を持っていたとしてもです」


「解説は有難いんですけど姫様、なんでそんなに詳しいんですか?」


 その情報の出所も気になるが、それが本当なら話は厄介だ。

 一応私たちはあの市場に商品として出品され、そしてこの親父が買い上げたという形を取っている。それが皇女とその従者だったとしてもお構いなしと言うのなら、この親父の言い分が通ってしまう事になる。そんなわけないだろ。


「そもそもワシが買ったのはただの姉妹だ! け、決して皇族とは関係ないんだ!」


「いや、どう見てもこの方は第三こ――」


「お姉ちゃんは静かにしていろ! この妹はただ顔と髪色と背丈が似ているだけの別人なんだ! 絶対に渡さないからな!?」


「一理、ありますね。私が皇女だったとしても、その証明が出来なけば覆す事は出来ませんから。もしこの後軟禁でもされてその機会が失われてしまえば、為す術はないでしょうね」


「すみませんロザリー、もう力ずくで制圧してくれませんか? 姫様も一緒に」


 何故か小太り親父の肩を持つような事を言う姫様は、妙に真剣な眼差しだ。それに呆れて私が助けを求めると、そのロザリーも同じような瞳をしていた。


「……そこの彼女が言う通り、現時点ではそこにいるのが誰かというのは確認できていない。そもそも通報の時点でそういった身分の者が奴隷になっている、とも聞いていない」


「え?」


 一瞬、ロザリーの言った事が飲み込めずにフリーズする。

 今ロザリーが言ったのは、皇女が奴隷になったから助けにきたわけではないという事だ。専属護衛騎士の爆弾発言に、私と姫様と小太り親父の全員が驚愕を露わにする。


「そ、そうだな! この妹はワシの奴隷、ただそれだけだ! なんだ、分かっているではないか!」


「やはりそうなんですか!? 私はこのまま、奴隷になってしまうのですか!?」


「そこを認めないなら、あなたはなんでここに……………………あっ」


 一転して歓喜の声を出す小太り親父と姫様の横で、私はある事に気づいた。

 一つはロザリーにまだ余裕があるというか、どこか勝ちを確信したような笑みがある事。

 もう一つは皇女の一大事ではないと言いつつ、専属護衛騎士のロザリーがここに来た理由。姫様を皇女だと認めないままに助ける方法がある事を、私は思い出していた。


「勘違いするなよ? 決して許されないと言うのは身分の事ではない。その身体的特徴だ」


「な、何のことだ?」


「やはり知らなかったのか。最近決まった新法なのだが、この帝国内ではが禁じられたんだ。無論、奴隷として買う事も違法となる」


「「…………は?」」


 淡々とロザリーが述べた瞬間、姫様と小太り親父サイドが固まった。沈黙が訪れた柵のこちら側で、私だけがそうですねと頷いた。


「……待て待て待て、なんだそのピンポイントな法はぁ?!」


「そ、そうです! そんなヘンテコなお触れなんて聞いたことがありません!」


「そう言われても、既に可決されて施行された法だからな。こうして現行犯の前にいる以上、見逃す事は出来ん。そうだな?」


 ピンク髪の奴隷とそれを買ってしまった親父が抗議の声を上げるが、ロザリーはどこ吹く風といった様子で私の方に視線を投げてきた。


 この法を発案して可決させた私としては、こくりと頷くばかりである。というか以前姫様には言わなかったっけ。


「あれだけ連呼したんだ、お前がこうしてピンクの髪を持つ彼女を奴隷として買った事実を今更覆す事は出来ないぞ」


「む、むぐぐぐ……! くそう、なんでそんな馬鹿な法が通っているんだ……!」


「なんででしょうね……」


 そこまでしないといけない元凶の方を見ながら相槌を打つ私。

 議会には万が一の時に姫様を守る為だと言ってゴリ押したのだが、まさか本当にその通りになるとは。もちろんピンク髪の姫様が買い手になる事を避ける為の法だったのだが、世の中何が役に立つか分からないものだとうんうんと頷く私だった。


「いつの間にそんな予防線を……。やはり議会の方にも影響力を伸ばしておくべきですね」


 そんな元凶もうんうんと唸っていた。余計な気付きを得ている辺り、もしかするとこの手はまだ明かすべきではなかったかもしれない。


「理解できたか? であれば直ちにこの門を開けろ。そうすれば皇族家の人間を手中に収めようとするよりかは、軽い罪になるだろうさ」


 そう言って不敵に笑うロザリーは、随分と頼もしく見えた。

 思えば、ここに来た当初からロザリーは姫様を皇女として扱っていなかった。別に私みたく扱いが雑だったわけではなく、既に皇女の護衛騎士として助けることが出来ないと分かっていたからだろう。他にも理由はあるのかもしれないが、今は確かにこれで十分そうだ。


「……分かった、門を開けよう。このピンク髪の奴隷は、解放する」


 そうしている内に小太り親父の中で天秤が傾き終わったらしい。渋々と言うか、苦々しい表情でそう口にした親父は門を開けるよう部下に命じながら、私の元へとやってきた。……ん?


「だがそれはそのピンク髪の奴隷だけだ! こっちの姉の方を解放する必要はないはずだろう!」


「んなっ!?」


 油断していた私を抱き寄せるようにしながら叫ぶ小太り親父。ちょっやめっ、近い近い?!


「妹の方はくれてやるから、さっさと出てい――」


「――いい加減にしろ、下郎め」


 ――開いた門の僅かな隙間から、稲妻が走った。

 そうとしか思えない速度で私と親父の間を割く紫電があった。

 親父を弾き飛ばしながら突進し、解放された私が倒れ込む前にその背へ手を回してキャッチする。まとめると、凄い早業で親父をぶっ飛ばした後に私をお姫様抱っこで助けるロザリーの姿があった。


「あの方の御前だから規律に従っているだけで、最初から力ずくで事を収めてもよかったんだ。まさか本気で私たちから逃げ切れるとでも思っていたのか?」


「な、な、何を言って……!?」

 

 尻もちをついた親父をカミソリよりも鋭い目で見下すロザリー。

 本当に力ずくで解決してよかったかはともかく、それが出来るだけの実力をロザリーが有しているのは間違いない。第三皇女の護衛を任された騎士である彼女が、一介の親父程度にどうこう出来るはずがないのだから。

 けどまぁ、それはそれとして。


「その、すみませんロザリー。私よりも姫様の方に行っていただいてもいいですか? 助けてくれたのはありがたいのですが」


「……あ? まぁそれもそうだな。では失礼して」


 私がおずおずとお願いすると、ロザリーは一瞬目を見開いた後に私を地面に下ろし、それからトコトコと姫様の方に向かっていった。あの速度だと危ないからね、そうだよね。それとお姫様抱っこされる必要はあったんだろうか、私。


「――あなたの危機に馳せ参じるのが遅れてしまい、大変申し訳ございません。此度の罰は如何様にも」


「……そうですね。言いたい事は色々あるような気がしますが、それでも来てくれた事には感謝いたします。ありがとうございます、ロザリー」


 そうして本来仕えている主人の前で膝をつき、頭を垂れるロザリー。

 その忠誠を受け取る姫様にはもう先ほどまでの興奮の色はなく、上に立つ者としての貫禄を取り戻していた。その皇女たる顔のまま、茫然としている小太り親父の方を向いた。


「残念ですが、此度はここまでです。この騎士が言った通りに法を犯しているのなら、奴隷契約は成立したものと見做される事はないでしょう。よって、ピンクの髪を持つ私と一緒に売られた彼女もまた、奴隷となる事はありません。あくまで私の見解ではありますが、恐らく同様の見解を上も示す事になるはずです。そうですね、ロザリー?」


「はい、仰る通りかと。――というわけだ、分かったな?」


「そ、そんなぁ……!」


 姫様の言葉を受けたロザリーが突きつけた現実に、とうとう小太り親父が打ちひしがれて膝をつく。それが事件の決着の合図となった。同時に他の騎士たちも正門をくぐり、小太り親父と関係者を拘束すべく動いていく。そこまで見届けてようやく、私も息をついた。


「ふぅ、何とかなりましたか……」


 こうして姫様と私の長い夜は終わった。これでもう姫様が奴隷になる事はないと、胸をなでおろす私なのだった。















 



 

「――ねぇサーシャ。あの事、忘れていませんよね? ここから出られたら、サーシャが私に好きなだけお手入れケアをしてくれるって」


「……………………あの、お手柔らかにお願いしてもいいですか?」


「それは私が言う言葉だと思うので、お断りします。それに買い物へ行く前に同人誌を見せてくれる約束もしていましたよね? それもお忘れなく♪」


「え、それもまだ有効なんですか。というかなんか怒ってませんか姫様。ねぇ姫様、もしもし?!」


 ようやく終わったと思ったのに、いい笑顔を張り付けた姫様がそんな事を告げてきて。

 この後、捕まっている時よりもめちゃくちゃ大変だったのだけど、それはまた別の話である。

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