2-2話
コトッと、二人の座っている机にそれぞれ皿と食器を置く。
食パンを焼いたものと、それと焼いたソーセージに目玉焼き。なんのひねりもない、ただの朝食だ。
「どうぞ、召し上がれ。」
二人にそう告げて、私は先にソファに戻っていたカモミールの隣に座る。二人は何か話しているが内容まではわからない。あまり詮索するものでもないだろうと、隣の彼女に話しかける。
「ねえ、カモミール。君のこと、何て呼べばいい?」
「…え?えっと、そうですね、まあ、好きに呼んでいただければ…」
「そう?じゃあお母さんからは何て呼ばれてた?」
「そうですね…かなり昔のことなのでどう呼ばれていたか…」
彼女はプライベートにずかずか入ってくるくせに、こちらから近づこうとすると踏み入れない。彼女と何を話せばいいのか。仲良くなれる気がしない。
「じゃあ、カミュ。カミュでどう?」
もう半ばやけくその状態であだ名をつける。反射でつけたにしてはいい名前かもしれない。カミュ。
「カミュ…カミュですか。いいですね、カミュ。」
お気に召したようだ。カミュ。自画自賛だけれど私のセンスの良さが出ていると思う。
「じゃあ決定ね、カミュ。カミュ、いきなりだけどこの基地の案内をさ、してくれない?資料で構造はわかったけど、知ってる人が教えてくれたほうがいいと思って。」
適当に会話を続けるための提案をする。いきなりだけれど悪くはないだろう。
「ええ、もちろん。では行きましょうか。」
彼女は読んでいた本に栞を挟み、すっと立ち上がった。それに呼応するようにわたしも立ち上がる。カミュとともに部屋を後にして、彼女の話を聞きながら二人で廊下を歩き始めた。
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