第二話 誰への謝罪?
ようこそ、ここは…ってなんだあなたでしたか。
…失礼しました。いえ、なんだなんて言ってしまいましたが来てくださるのを楽しみにしていましたよ。また来てくださる方なんてあまりいませんので。
それで、今日も怪談を聞きに来たのでしょう?
もちろん怖い話はありますよ。
…ただ、初めにお話したものの方がきっと怖いと思います。
それでも良いというのならば、そこへお掛けになってください。
…そうですね、今回は
そのため私の視点で語らせていただきます。
今回のお話はお化けの怖さではなく、人間の怖さと言った方が合っているかもしれません。
では、『何の謝罪?』開演でございます。
これは私がまだ小学生だったころの話です。
私の通っていた学校は比較的平和な学校でした。
その中でも私の学年は仲が良かった。
今でも同窓会をやるとみんなが言うぐらいにです。
私も学年全員と喧嘩することもなく仲良く卒業することができました。
その中でも私には二人かすごく仲の良い友達がいました。
私たちはずっと仲良しだと、そう思っていたのです。
いや、私たち三人だけでなく学年全員が仲が良いのだと。
私は思っていたのに。
夏休みが終わって暑さも落ち着いてきたころ。
僕は見てしまったんだ。
放課後の教室で、少し茶色が入った黒の長髪にピンクのリボンをつけている女の子が茶髪のショートカットの子に蹴られてる。
僕は教室に入ろうとしたところだったから、隠れて覗いてた。
もしこれがイジメだったら。助けなきゃ。それはわかってた。
でも、これがイジメなのかがわからない。
だって匠海もリクも、なんならあと三人ぐらいはクラスメイトがいるのに、誰も女の子たちを見ていない。
僕はよくわからなくなって動けずにいた。
でもそしたら匠海たちが来て、一緒に帰ってしまった。
その日から一週間ぐらい経ったころ。
僕は放課後に匠海とリクと他のクラスに遊びに行った。
そしたらまたあの時の二人の女の子がいた。
また長髪の子がショートカットの子にイジメられてる。
今度はちゃんと助けよう。
そう思って二人に近づいた。
そしたら聞こえてきたんだ。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、
長髪の女の子の方が言っている。
ごめんなさい、と何度も。
あぁ、絶対に助けなきゃなんだろうな。
でも何かが変だったんだ。
もうやめて。おねがい。ごめんなさい。許して。誰か助けて。
ごめんなさい、ごめんなさい。
長髪の子が言う。
なんで?やめてって言ってもやめなかったじゃん。
そんなただ”ごめんなさい”って繰り返しても疲れるだけだよ。
終わるまで必死に耐えれば早く終わるよ。
あなたは私にそうしたよね?
それに何に対しての謝罪か言いなよ。早く。
ショートカットの子が言った言葉で僕はわかった。
たぶん、長髪の子がショートカットの子をイジメていたんだ。
それをやり返してる。ってことだと思う。
あぁ、だからかな。
みんなこの暴力は正義だと思うから助けないんだね。
それでも僕はイジメの現場に入って、やめさせた。
どんな理由があっても人に暴力を振ったらその人も悪くなる。
僕は、ショートカットの子に言った。
「この前は助けてあげられなくてごめん。」
でも、もうそこには女の子はいなかった。
いるのは匠海とリク。
匠海はそっと僕に「ごめん」と言った。
リクは急いで何も言わずに顔を真っ青にして走っていった。
そこからはもう覚えていない。
気が付いたらそこは校長室で、僕は寝ていた。
そこで校長先生の机の上にあの長髪の女の子の写真があった。
長髪の子がグレーのショートカットの子にグレーのリボンをつけてもらっている写真だった。
あの子にも仲が良い友達がいたんだ。
たぶん僕は助けてあげられなかった。何もかも。
僕は写真に向かって「ごめん」と言った。
その瞬間「何の謝罪?」と聞こえた気がした。
…というのが『何の謝罪?』というお話でございます。
この出来事で私は人間というのはすぐに興味が変わる身勝手な生き物だと思いました。
それは私もですがね。
あなたはもしイジメを見かけたら、見ていないフリ、気づかないフリは絶対にしないでください。
きっとあなたは「そんなことしない」と思っているでしょう。
そこで聞きます…たとえそれが何であっても、ですか?
では、これにて『誰への謝罪?』閉演でございます。
…さて。今回の話は私の視点のままでしたが、これをあなたが見ていたら。あなたはどうしますか?
もしも。また『
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