恋なんて、そんなものだ

第2話

“ねぇ次、いつ会える?”




昨日の夜に送信したメッセージ画面を、もう何回見たかわからないくらいにじっと見つめる。


既読になったまま、私の送信した文字が最後になっている画面は、まるで誰も読んでくれない広告チラシの文字のようだ。




はぁ、と小さく溜息が自然と漏れる。





「ね。ちょっと奈由なゆ、これからご飯なのに溜め息ついちゃってどうしたの~?」



大学の講義が終わってのお昼休み。

食堂へ向かう広いキャンパスの中。



隣を歩いていた大学の友人である、麗香れいかが首を傾げた。




比呂ひろから返事が来ないの」


「出た、比呂君!奈由の最低彼氏~!」



麗香がゲッというように眉間に皺を寄せて反応する。


すごい言われようだけど、そう言われても仕方の無いような関係だ。


哀れみの視線で麗香が私の握りしめているスマートフォンを見下ろす。





「いつ送ったの?」


「昨日寝る前。11時くらい」


「気づいてないだけじゃなくて?」


「既読にはなってるから……。でも、よくある事なの」



そう苦笑いして胸の痛みを誤魔化してみる。

麗香は「相変わらずねぇ~…」なんて、呟いて私の肩を抱いた。




「ほんと、どうしようもない男。こういう時はさ、美味しいもの食べて、気にしないようにしよっ!」


「ふふ、うん。そうする!」



友達がいて良かったと思うのは、こういう一人じゃどうしようもなくなっちゃいそうな時だ。

スマートフォンをしまい込み、食堂へと麗香と歩いて行く。


そうだ。気分転換しなきゃ、やっていけないよね。

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