六章 14

 その言葉が不思議とすんと私の中に入ってきた。自然と何事もなかったかのように心に入ってきた。

「そっか」

 支えていたのものが消えた。それがどういうものかはすぐにわかった。

「結局、自信がなかったんだ」

「ルミエル様……?」

「何も見てこなかったのは私の方だったんだ」

 目を閉じる。そこに見えてくるのは大きな殻。でも、そんな殻にはたくさんのヒビが入っていた。

(ルーナのおかげだ。あのままだったら、私は彼をここに入れてずっと閉じこもったままだった)

 殻にそっと触れる。ポロポロと落ちてくる破片。

(もう必要ないよ。……だから、壊れて!)

 全力で殴る! 忌々しかったこの力で、今度は真に自分のために。

「ルーナ」

「ルミエル様……?」

「ありがとう、もう迷わないよ」

 一瞬ぽかんとした表情を見せたルーナだったけど、すぐに笑みを浮かべると私と一緒に立ち上がった。

「お父様に相談したいことができたの。一緒に行ってくれる?」

「……もちろんです。私はあなたの従者ですから」 

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