二章 3
そして翌日、結局柱の修繕が終わったのは作業を始めて二時間後だった。全て終わり、ルミエルの部屋に戻された俺はそのまま十分間休憩をして、そのままルミエルが起きるまで待っていた。
「ふわあ……ふう」
どうやらルミエルが目を覚ましたようだ。流石に寝起きは隙だらけではある。それを狙いたんだが、未だに後ろにずっとついているメイド長に対して流石に少しげんなりとする。
「おはようございます、ルミエル様」
「おはよう――ございます」
目を覚ましたルミエルに対してメイド長は近寄っていった。そんな様子を見て俺は暇で床に座り込んだままの状態であった。
「ルミエル様、もうすぐで朝食のお時間です」
「わかりました。お着替えをしたらすぐに行きます」
俺は退出したメイド長についていく形で部屋から出ていった。流石にそこまでいこうものなら怒り狂ったマクロンの手で斬り殺されてもおかしくはない。というか、逃げれるけどそうすると死神は少女の覗きをするとかいうもっと酷い汚名を着せられることになるから絶対にしない。
「薄汚い暗殺者でもその程度の分別があったのですね」
「……悪かったね、薄汚くて」
(てめえ、しっかりしろよ!)
一瞬――フラッシュバックする光景。
「本当にだよ……」
「死神、夜まで作業をしていたみたいだが、何か変なことをしでかしていないだろうね?」
「そんなに気になるならお前が確認すればいいじゃねえか」
周りにいる使用人が殺気立つ。別にルミエルさえ撒くことができれば、周りの使用人や騎士が何人いようとも逃げ切れる。俺に苛立って捕縛しようとしてもここならいくらでも手はある。
「まあ、やったな」
「貴様!?」
「なら、そもそも俺に任せるなよ。それに安心しておけ。強度は確保してある」
「そういう問題では……」
本当にだ。買い物行かすだけ行かして床の修理だけはやりました。柱お願いしますって、舐められてるんじゃねえかってくらいだな。半ば意趣返し的な側面もあるが、おとなしく味わっておけばいいんだ。
「君の仕事ぶりを見たかったのだがな」
「なら、他の何かをやらせておけよ。俺は大工じゃないんだぜ」
「あまり、そん「なんだ?」!」パシッ!
舐めた口を聞いているか、それは本当にどっちなんだろうな。ルミエルに対する対処法が一旦ないからおとなしくしているだけだ。
てか、結構な不意をついてマクロンの背後に回り込んだが、ルミエルは俺の動きに反応してナイフぶん投げてきた。こういうところが厄介なんだよ。
「一切反応ができなかったな」
「く、うぅ……」
「逆なんだよ。お前らが俺に対する札を持っているんじゃない。俺がいつでもお前らを殺せるってことだよ」
予定とはだいぶ違うが俺の脅威を見せたことへの反応はどうなんだろうか? どうせルミエルは俺の動きが見えたし、特に何にもおもわ……父親を狙ったことくらいか? 言うことがあるするなら精々。
「噂以上の凄まじさだな。娘のわがままとはいえ、獅子を招き入れてしまったらしい」
「なら、ルミエルは竜だな」
そうして、一波乱ありつつも面倒な朝食は終わった。
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