「君と紡いだ幸せの証明」

ソコニ

第1話「最後の手紙」



告白まであと1日。私は机の前で、彼への手紙を書いていた。明日、卒業式の後に渡すつもりだ。


「きみは幸せでしたか?」


そう書き出して、私は少し考え込んだ。3年間の思い出が走馬灯のように駆け巡る。


入学式の日、隣の席だった彼は、緊張で固まっていた私に優しく話しかけてくれた。それから自然と仲良くなって、休み時間はいつも一緒だった。彼の夢は獣医になることで、休憩時間には動物の話を熱く語ってくれた。


2年生になって別のクラスになっても、昼休みには必ず会いに来てくれた。私が具合悪そうな時は保健室まで連れて行ってくれて、委員会で遅くなる時は一緒に帰ってくれた。


そんな彼が、3年生の春に転校することになった。父親の仕事の都合で、遠く離れた街へ。最後の日、彼は「元気でな」と笑顔で言ったけれど、私には彼の瞳が潤んでいるように見えた。


それから1年。私たちはSNSで連絡を取り合っていた。彼は新しい学校でも頑張っているようで、獣医になる夢に向かって着実に進んでいた。でも、画面越しの言葉では伝えきれない想いが、私の中でどんどん大きくなっていった。


だから決めたんだ。卒業式の日に会いに来てくれる彼に、この3年間の想いを全部伝えようと。


「あなたのおかげで、私はとても幸せでした。これからもずっと、大切な友達でいてください」


そう書いて、私は手紙を封筒に入れた。明日、きっと伝えよう。


たとえ想いが届かなくても、私の中のこの気持ちは永遠に変わらない。それは、かけがえのない宝物になるから。

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「君と紡いだ幸せの証明」 ソコニ @mi33x

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