第6話 ポストイナよりー絵葉書の向こうに広がる冒険
親愛なる孫たちへ
こんにちは!
おばあちゃんは今、スロベニアのポストイナという町に来ているの。
ここには、ヨーロッパで一番有名な洞窟のひとつ、ポストイナ鍾乳洞があるのよ。
でもね、ただの洞窟じゃないの。
ここには、昔から「ドラゴンの赤ちゃん」と呼ばれる不思議な生き物が住んでいるんですって……。
今日は、その話を書いて送るわね。
ババは、ポストイナ鍾乳洞の入り口でガイドのレオナルドさんと出会ったの。
彼は
「この洞窟には、まだ誰も知らない秘密がたくさんあるんだ」
とニヤリと笑ったのよ。
その言葉にワクワクしながら、洞窟探検へ!
まず、洞窟の中へ入るために、小さなトロッコ列車に乗ったの。
暗闇の中を走るトロッコは、まるで別の世界に運ばれていくような気分だったわ。
奥へ進むにつれて、天井から垂れ下がる無数の鍾乳石が、まるで氷の城みたいに光っていたの。
でもね、一番驚いたのは、
「人魚の洞窟」
と呼ばれる場所に着いたとき。
レオナルドさんが懐中電灯を照らすと、小さな池の中に、白くて細長い生き物がスーッと泳いでいたの!
「これが『ドラゴンの赤ちゃん』だよ」
とレオナルドさんが言ったの。
実はこの生き物、正体はオルムという洞窟サンショウウオなのよ。
でも、昔の人は
「ドラゴンが地下に住んでいて、その子どもが時々洞窟の水から現れる」
と信じていたんですって。
本当にそんな気がしてしまうくらい、神秘的な姿だったわ。
洞窟を探検した後、町へ戻ってちょっと休憩することにしたの。
レオナルドさんが
「ポストイナに来たなら、これを食べなきゃ」
とすすめてくれたのが、「クラシュキ・プロシュート」というスロベニアの生ハム。
しっとりとしていて、ほんのり塩気があって、パンと一緒に食べると最高だったわ!
そしてデザートには、地元のハチミツケーキを食べたの。
スロベニアは養蜂が盛んな国で、ここのハチミツは世界的にも有名なのよ。
おばあちゃん、お土産に小さなハチミツの瓶を買ったから、日本に帰ったらパンケーキにかけて一緒に食べようか。
夕方、もう一度洞窟の近くへ行って、静かに耳を澄ましてみたの。
すると、どこからか水の流れる音と、かすかな鼓動のような音が聞こえた気がしたの。
もしかして、地下の奥深くに、本当にドラゴンが眠っているのかしら……?
こうして、ババのポストイナでの冒険は終わったわ。
でも、この洞窟にはまだまだ知らない秘密がありそうね。
次の絵葉書も楽しみにしていてね!
愛をこめて、ババより
緑の中の東欧より〜森の香りの絵葉書物語 @masamasa0930
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。緑の中の東欧より〜森の香りの絵葉書物語の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます