セフレだと思っていたからコンパをしたのに、浮気だといわれる意味がわからない。

由汰のらん

プロローグ


いつだって琉星りゅうせいさんの周りには綺麗な女性がはびこっていて、私の入る隙はないと思っていた。


 

しかし誰しも大当たりを引く瞬間というものがあるらしい。

 

 

会社の飲み会で、酔った勢いで琉星さんにお持ち帰りされた私は、抱かれたついでに告白してみたのだ。


 

無謀にも「好きです! 付き合って下さい!」と頭を下げたのが運のツキ。情事後に真っ裸で告白するなんて、私の友人には『桃色歴史』と称された。

 



「マジ? いーよ。でも俺、めちゃ忙しいから会える時間あんまないよ? いいの?」


「も、もちろん……! って、付き合ってくれるんですか!?」


「なんで? 俺のこと好きなんでショ?」


 

コクコクと頷けば、再び琉星さんに甘い言葉を囁かれて狂ったように抱かれた。


 

琉星さんは格好いい。名前だって琉星りゅうせい凱人かいととめちゃいい。若干のチャラさは否めないけど、それはそれで彼のチャームポイントでもあるのだ。



でも残念ながら、チャームポイントなどと可愛く呼べる代物ではないことがその数カ月後に発覚する。





「あーミワちゃん? うん、うん。はあ? 今からぁ? マジかあ……。」


  

一ヶ月ぶりのデートの日。速攻ホテルでやり終えた後のピロートークは、着信音により掻き消された。


 

「ごめん京花きょうか。ちょっと野暮用で家に帰んなくちゃいけなくなったわ。」


「そ、っかあ。」


「久々のデートだってのに、ほんとごめんね。」  


  

浮気?浮気ですか?でも会ってはくれるし優しくもしてくれる。私、恋人の認識間違えてないよね?


  

こんな風に会ってやるだけのデートが1年続いた。


 

その間、不安を感じながらも、私は琉星さんの恋人であると自負していたのだが。傍観者である友人には笑いながら『現在進行形黒歴史』と称された。

 


1年後、夢から覚めた私は、琉星さんをセフレだと思うことに努めた。





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