ダンジョン構築型RPG「Dungeon Keep Online」

ルーミアくん

ゲーム開始

 2040年。大手VRゲーム会社から同時に二つのゲームが発表された。


 1つは、これまでに類を見ないほど美しい異世界の中を探索しながらダンジョンを探索したり、装備を作成してストーリーが進むと出現すると明言されている魔王を討伐することを目標とする協力型王道VRMMORPGの「Dungeon Break Online」


 1つは、狭い石造りの部屋の中に閉じこもりながらダンジョンを作成し、攻めてくる冒険者や対立するダンジョンマスターたちをすべて返り討ちにしながら魔王となり、最終的に全世界の支配を目指す対戦ダンジョン構築型VRMMORPGの「Dungeon Keep Online」 


 2つのゲームの発表映像を見た多くのプレイヤーは皆、前者に惹かれた。美しい世界を冒険しながらモンスターと戦う光景、出会った仲間との協力、町のリアルなNPCとの交流、現実感がありつつ手数が多くなりすぎない生産、闘技場でのPvP...挙げればきりのない魅力に当てられた多くのプレイヤーは映像から情報を読み取ることに必死だった。そう。石造りの部屋の中にこもってタワーディフェンスを行うゲームのことなど多くのプレイヤーの眼中にはなかった。


しかし、ゲーマーの中にはとあることに気付くプレイヤーもいた。タワーディフェンスゲームの発表映像の中に出て来た敵役の冒険者が、NPCとは思えないような複雑でスタイリッシュな動きをしていたのだ。このことに気付いたプレイヤー達はこれまでにない、プレイヤーが攻めてくる非対称のVRMMOなのではないかと考えだした。


そして、いまから「Dungeon keep online」へとログインする俺もまた、これまでにほかのゲームでは行うことのできなかったVR世界での対人タワーディフェンスに強く興味を持ったプレイヤーの一人である。


「さて...ここが俺の部屋か...本当に殺風景だな。」


あまり興味を持たれていなかった(とはいえ倍率は5倍程度あったが)ために第1陣からゲームに参加できたがあまりに殺風景な風景に思わずそう呟いてしまった。


周りを見渡せば石レンガに覆われている12畳程度の部屋であり、少し広い一人暮らし用の部屋だと言われても違和感はないほど狭い。


こんな狭い部屋から本当にダンジョンを作れるのかと思っていると、突然部屋の隅に女性のホログラムが現れ、しゃべりだした。


「Dungeon keep onlineへようこそ。私はゲームの説明とダンジョン作成のサポートを担当するホログラムAI、藍です。説明を開始する場合には説明開始と口に出してください。」


この言葉を聞いた俺はこれからこのゲームでどんなダンジョンを作ろうか胸を膨らませながら口に出した。


「説明開始!!」

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ダンジョン構築型RPG「Dungeon Keep Online」 ルーミアくん @dragonsrumia

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