顔好き
バイト終わり、帰り道。
コンビニの前で立ち話をしていた由奈と陸。
「なぁ、やっぱ陸って顔かっこええよな?」
由奈が、ジュースのストローをくわえながら言う。
「そうか?」
「かっこええ」
「ふーん」
陸は特に気にする様子もなく、ポケットに手を突っ込んだまま歩く。
「でも、もっと濃い顔でも良かったなぁ」
「……は?」
陸が思わず足を止める。
「例えば?」
「ジョン・カビラみたいな」
「濃いっ!! 遺伝子レベルで!!」
陸が即座にツッコむ。
「え、カッコよくない?」
「いや、渋いけど……なにお前、俺にあのレベルの濃さ求めてんの?」
「うん、なんかこう……目ヂカラとか、声とか、迫力とか、もっとほしい」
「お前、俺の顔でサッカー実況でもさせる気か?」
「『ゴォォォォォル!!!』とか叫んでほしい」
「誰がやるか!!」
ツッコミながら途中のクズカゴに空き缶を放り込む
「いや、そもそもお前、もしかして俺の顔好きやないんか?」
「めっちゃ好きやで?」
「やのに、もっと濃い方がええんか?」
「そう。もっと……ジョン・カビラみたいに」
「もうええわ!!」
陸は頭を抱えながらため息をつく。
「そもそもお前、俺のこと『かっこいい』って言いながら、たまに謎のダメ出しするよな」
「だって好きやから、もっと良くなってほしいやん」
「塩顔はどんなに進化してもジョンカビラにはならん……」
由奈は「ふふん」と得意げに笑いながら、ジュースを一口飲んだ。
「嘘。陸は陸のままでええよ」
「最初からそう言えや」
「ただ、今日私抱く時「『ゴォォォォォル!!!』って叫んでくれたらそれでええ」
「最中に思い出してわろてまうからやめろや!!」
この夜、陸は結局最中に思い出して吹き出した。
大阪浪島のバカップル ぺぺろん。 @peperon0208
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