なんと言っても読ませるパワーがすごいです。
ともすれば情報過多で読者の頭が爆発するのに、小気味の良いリズムとともにスッと入ってきて難なく処理できてしまうのですから、こはいかに。
舞台設定は殺伐としており、序盤で衝撃の事実を食らわされます。そこまで読めば既に作品の虜かも。
大枠のジャンルはミステリーとのことですが、アクションシーンもすごく緊迫感があってかっこいいです。
キャラクターも魅力的なんですよね。
個人的には、年齢不詳の所長・饗童さんがぶっ刺さりです。
また、おそらく同世代ゆえの楽しみ方になるのでしょうが、例え話に使われる題材やネタが分かるのも嬉しいですw
クエンティンタランティーノとウェスアンダーソンがタッグ組んだようなハートフルバイオレンスコメディ。
小説より映画派の自分、こんな例えしか思い浮かばず情けなさを感じております。しかし、これ、絶対に映画では描けない世界観なので、小説ってやっぱりスゴイなと思わせていただきました。
脳内ノンストップADHD(あらあらどうしましょうホンマかいな大造じいさん、の略)な姉・桃。
物心つく前から殺し屋として育てられ、出鱈目話はするけど姉ほどではないナイフガイな弟・蓮。
殺したから出会った、死んだから始まった、2人の奇妙な共同生活。
ふふふ、と笑ってるといきなりパンチ喰らう、ユニークなギャグに彩られた、繊細な家族愛と人間ドラマ。
これから先が楽しみです!