第10話 病院


 元番長が入院した。


 なんでも春夫にやらて骨折が数か所あるらしい。


 なんか可哀想なのでお見舞いに行く事にした。


 近くのドラッグストアで見舞いの品を買って、番長の病室へ




 荒岩光蔵、、この部屋か。


「元番長さん お見舞いにきましたよ」


「あ! 兄貴! お疲れ様です!」


 うるせえな、ここ病院だぞ。



「えっと、怪我の具合はどうですか?」


「もう! バッチリですよ!」


 嘘つけ なんだその冗談みたいな包帯は。



「これ、よかったらどうぞ」


「ありがとうございます! 感激です!」


 だからうるせえって。



 元番長は嬉しそうに俺の買ってきたカニパンを頬張っている。


 たまにこういう可愛いとこあるよな、ギャップ狙いか?


「あ! 兄貴! 実はですね!」


「あんま大きな声出さないでください、他の患者さんに迷惑です」


 するとそこへ誰かが入ってきた。


「おいなに騒いでんだよ先輩! つーかここの売店コロコロ売ってねーよ! 今月ポケカ入ってんだぞ!」


「カズマ? ここに入院してたんですね」


「おお!? 太郎じゃん!! なんで居るんだ!?」


 こいつら声でけえ あとコロコロ読んでんだなお前。


「元番長さんのお見舞いに来たんです」


「、、、俺の見舞いにも来いよ」


 それはそうだな すまん、そんな寂しそうにすんな。



「あに 太郎くんが俺をここまで連れて来てくれたのだ、貴様は入院している事をあに 太郎くんに報告したのか?」


「いや、、してねえな そうだよな! 来れるわけねえよな!」


 助かりますぅ元番長。



「貴様も食え! あに 太郎くんからの見舞いの品だ!」


「おっ! カニパンじゃん! やったぜ!」


「うむ! カニパンは最高だ!」


 こいつら可愛いな。



「ところでお二人は、あとどれくらいで退院できるんですか?」


「俺は2ヶ月だな!」


「自分は! 3ヶ月ほどです!」


「大変ですね、あともう少し静かにしたほうがいいですよ」


「おう! 静かにしてるぜ!」


「はい! 安静にします!」


 あ、たぶん伝わってねえな。



 するとそこへ鬼の形相の美人ナースさんが入ってきた。


「てめえら! 静かにしろって何回言わせんだコラ!」


 こえー。



「あら? お友達?」


「は、はい」


「こいつら言っても聞かないからあんたからも注意してやって」


「それはもう、おっしゃる通りで」


「真由美ぃ そんな怒んなよ、太郎がビビるだろ」


「てめえらにキレてんだよ!!」


 楽しそうな病院。


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雑魚キャラの憂鬱 つきの月 @mobu92f

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