第7話 あなたは誰



「あなたはだーれ?わたしはねー、ユアン!んふふ〜!」


鏡に映る自分に話しける。私の一番の遊び相手。

ユアンは好きなアニメのキャラクターの名前!大好きなキャラクターなの。いつも明るくて、元気で、楽しくて、何かに負けそうになっても挫けないでいつも頑張ってるの。

私もユアンみたいになひとくて、いつも遊ぶ時はユアンの名前を使ってるの。


「今日はね、保育園でねー……」


その日何があったかをいつもお話するの。ママにもパパにもお話するけど、鏡に映る私に話すのが1番好き。いつもキラキラした笑顔で聞いてくれるから。とっても楽しいの。


「でも今日はね……」


悲しかったこともあったわ。パパとママが喧嘩しているの。今もずっと下で大きな声でお話してるの。何話してるのかは分からないけど、ママもパパも大きな声で酷いこと言ってるの。それを聞きたくなくて、いつも自分のお部屋で、大好きで可愛いお布団を被ってね、大好きなくまちゃんのぬいぐるみを抱っこしてね、鏡の私とお話するの。辛くないわ。大好きなものでいっぱいだから。


だからね、このほっぺに流れるお水は涙じゃないわ。

震えてないよ、私はユアンみたいにニコニコするのよ。


「ねぇ、もっと楽しい世界においでよ。」

「え?」

「こっちの世界では、パパもママも仲良しよ。いつも美味しいものが食べれるわ。ユアンもおいで?」

「…………いく。行くわ。くまちゃんも連れてっていい?」

「もちろん。」






────○○ちゃんが行方不明になってから1週間が経ちました─……。

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1日1小説 @dareshira

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