第6話 手紙の行方




あの手紙は、どこに行ったのだろう。


ふと、過去に貰った手紙に思いをめぐらせた。過去、1度だけ貰った手紙。大事に取っておいたはずが、どこにしまっただろうか。


「え〜……。どこにやったかな……。」


心当たりのある場所をガサゴソと漁ってみる。懐かしいものが沢山出てきて、一つ一つ思い出に浸りたいところではあるが、手紙の行方が気になってそれどころじゃない。

大事な手紙。

絶対大切だからってどこにしまったと思うんだけど…。

全く心当たりがないどころか、しまった覚えはあるけれど、それ以外の情報は全く覚えていない。


あの手紙は、唯一あの人に貰ったものだ。

口下手で、いつも何を考えているか分からないあの人。

そんな人が、自分の思いを伝えたくて、書いてくれた大切な手紙。


「なにひへんの?(何してんの?)」

「大切な手紙探してる。」

「鏡台の引き出しの奥に、缶に入れてしまったやつ?」

「……それかも。」


見てみると、ビンゴ。

本当にあった。大事な物入れ。

お気に入りの缶に詰めた、自分だけの宝物。

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