第45話 魔源石の真実1


 そんなひと騒動の後みんなでお墓に参ることになった。


 ちなみに辺境伯はさっきのリントやパシュの騒動と言いうんざりした顔をしてお墓には来ないで王宮のあったところで待っていた。


 そんなに嫌なら来なければよかったのにとみんなの不評を買っていた。


 王墓はかなり痛んでいたがその大きな石碑はどっしりとそこにあった。


 「アリーシア様、ここにご両親が眠っておられます」こっそり耳元でクレアが教えてくれる。


 「ありがとうクレア。あなた達のおかげ‥」


 私は持って来た花束をその場に手向け手を合わせる。


 クレアに教えてもらった母はミモザが好きだった知った。だから街中の花屋を探してミモザの花を手に入れた。



 「さあ、そろそろ神殿に行こう」そう言ったのはパシュだった。


 「パシュはここに来たことがあるの?」何だかそんな気がした。


 「ああ、4年前偶然来たんだ。ここで俺は命を救われた。神殿の女神が俺を救ってくれたんだ」


 「どういう事?」


 「俺は大けがをしてこの王宮近くに倒れていた。その時この辺りから光が現れて俺はその光に包まれて…あれはきっと治癒魔法みたいなものだと思う。身体中の痛みは薄れて俺は光のする場所に行ってみた。それが神殿だった。そこにはきっと不思議な力があったんでと思う。後で知った。ここが女神を祀ってあった神殿だったと」


 「それで神殿には何があったの?」


 私は聞かずにはいられなかった。


 「神殿には女神の像と祭壇。そして魔源石のようなものがあった」


 「パシュは魔源石を知ってるの?あなた何者?魔源石を知っているとすればコルプスの王族か神官くらいなのよ!」


 私は知っていた。魔源石コファルはオークの森にある古代の神殿という場所にあることを。


 その魔源石を聖女や聖獣が浄化していたことも、実は魔源石は長い間に人間の穢れを受けて濁っていた。


 その濁りが天候不順、不作。疫病など悪い事を引き寄せることも聖女になった時に知らされた。


 この事は国家機密並みの秘密事項だが。


 だから聖女はそれを浄化するためにバカルにいなければならないと。騎士隊の応援に行く事はあるが基本聖女はバカルにいなければならないとも言われた。


 「お、俺は冒険者だ。何年も前にオークの森にこっそり忍び込んで魔源石を見たことがあるんだ。だからわかった」


 「もう、パシュったら…捕まってたら死罪よ!そんな事より魔源石はどうなってたの?」


 「いや、はっきりとは見なかったんだ。多分薄汚れていたと思う」


 「もう、だめじゃない!」


 私はパシュあの腕をパ~ンとはたいた。



 そんな話が聞こえたのだろう。いきなりパニア村の村長が話しをし始めた。


 「これは昔話じゃ。ほんとかうそかなんぞもう誰にもわかりはしない事じゃが…コルプスの地に降りたシャダイ神と女神イルヴァは3種の神器を持っていた事は知っておるじゃろう。その一つが魔源石のコファルだと言うことも。その魔源石はふたつあったらしいんじゃ。女神イルヴァがシャダイの浮気を怒ってイエルハルドに国を開くとき持った来たのが魔源石。ここでふたつあった魔源石がコルプスとイエルハルドに別れたと言われておる。イルヴァはこの地で人々に女神の加護を授けこの地を豊かにした。そして人々は神殿に女神を祀って崇めた。時は流れ女王が女神の加護を引き継ぎ魔源石はずっと守られて来たんじゃ、だが、20数年前イエルハルドにコルプス軍が攻め込み神殿の魔源石をコルプス帝国にあった魔源石を取り替えたらしいんじゃ、あの時神殿には誰も立ち入らなかったがなぁ…その後でわしらはどうしても見てみたい衝動にかられた。それで神殿にこっそり入ったんじゃ。そこには魔源石を動かした後があって鏡とまで言われていた魔源石が黒ずんでおった。大方コルプス帝国の魔源石は汚い人間の欲望で濁ってしまったに違いない。イエルハルドを狙ったのもすべて魔源石を手に入れるためじゃったんじゃ。わしはそう思ったがずっとそれを言ったところでどうすることも出来んと思っておった。だが、聖女が魔樹海を浄化したことでもしかしたら魔源石も元の美しい石に戻っているかもしれんと思った。だから今日はそれを確かめたいと思ってな。ここに来たんじゃ…」


 そこにいた全員が驚いた。


 (そんなことがあったなんて。コルプス帝国の保身のためにイエルハルド国の民は両親は犠牲になったって事?許せない)


 「とにかく神殿に行ってみよう」


 リント隊長が先に立ってみんな神殿に向かった。



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