EPISODE2 私じゃダメですか?

また同じ夢を見ている…。

きっと忘れることは出来ないんだろう…。


オレは…化け物じゃない!!!


はぁ…はぁ…。


蓮…大丈夫か?

「父さん…。」

また、うなされていた…。

あの時のこと…まだ引きずっているんだな…。

「それは…うん…あの恐怖に満ちた顔は…。」

「忘れたくても…。」

そうかそうだよな…。

すまんな…蓮…。

「なんで…なんで父さんが謝るんだよ…。」

おまえ達を人の子として育てたいと言ったのは父さんだから…。

「それは関係ないよ…。」

そう…か…。

まだ早いから寝れるなら寝なさい。


「父さん…?」

なんだ?

「オレは今の環境好きだよ…。」

そうか…。


パタン…。



颯真…後悔してるです?

少しな…。

オレは母さんがやってきた事を…子供たちの気持も考えないで強要しているだけなのかなってな…。


そんな事、あの子たちは思ってないですよ。

ウチもこの町も今まで出会った人たち好きだったですよ?


そうか…。


“おまえたち化け物と一緒にしないでくれよ!”


あの言葉が今になってわかるとは…な。


気にするな…です…すぅ~すぅ~…。

泉水…。



翌朝…。


「行ってきます!」

蓮、凛…ちょっと待て…。

「え?」

校則でコレ禁止か?


颯真はピアスを見せて2人に尋ねた。

「いや…付けてるやついるしな?」

「うん…。」

そうか…じゃコレ片方ずつ付けとけ…。

「なんだよコレ…。」

おまえたちの妖力を抑えてくれる

御守りだよ…。

「……。」

「ありがとう、お父さん。」


「ピアスなら穴開けないとだから…。」

「帰って来たらにするよ…。」

「凛は貰う…ポッケに入れておく。」


そうか…。

じゃ気をつけてな…。

「行ってきます。」


バタン…。


「お父さんどうしたんだろうね急に。」

「さぁ…な。」



今日も家の前で待ってるのかよ…。

「静流さん、お兄ちゃんのこと好きだよ?」

「なに言ってんだよ!」

「凛にはわかるもーん。」


「おはようございます…何のお話しですか?」

「いや…なんでもない…。」

「え〜…私がどうのって聞こえたんですけど」

「気の所為…幻聴だ。」



1時限目体育って…マジか…。

朝から怠いんだけど…。


「やる気でないよなあ〜…。」

「まったくだ…。」


おー?

今日は女子も外体育か!!


「めっちゃ気合い入るわぁ〜。」

「秋月…おまえ最低だな…。」


おーし、今日はサッカーやるぞ!

「おっ!」

「蓮!同じチームになろうぜ!」


え…名前で呼んだ?


「どうした?」

「いや、今オレの名前呼んだろ。」

「あ、ダメだったか?友達感でて良いかなって…。」

「いや…じゃあオレもいいか?」

「どんと来いマイブラザー!!」


ダメだ…こいつのノリにはついていけない。


「男子サッカーやってる〜。」

「あ、ほんとだー!!」

「秋月くーん、頑張ってー!!」


おぉー頑張るよ~!!


行くぞ蓮!!

(女子が見てるから気合い入りまくりだな…)

オレは…まぁ適当に…。

清!!

ドゥッ!


ドリブル突破〜!

囲まれる前に…っと…蓮、イッけ〜〜!!

清からのパスをダイレクトで…合わせる!

ここだボレーシュート!!

ザシュッ!!

マジか…よ!


狐塚くん凄いかっこいいー!!

サッカーすごい上手いんだ。

見ました?静流さま!

え、ええ…本当にすごい…。


おーい女子〜こっちも授業やってるんだぞ〜!


「マジかよ!蓮おまえやってたのかよ!」

「あぁ…サッカー好きだから。」

「マジかサッカー部入れよ!」

「一緒にやろうぜ。」


いや…部活はやらない…。

なんでだよ?

今から3年のオレが入ってどうすんだよ。

ボール磨きしてろってか?

いやいや…その実力ならレギュラーだろ!

だからイヤなんだよ…。

誰かからポジション奪うのは…。



昼休み…。


蓮、飯行こうぜ!

あぁ…。


「あの…蓮くん…。」


「なんだよ九條…。」

「お昼一緒に食べませんか?」


くそ〜静流さまに蓮は譲るよ〜!

「おい…清!!」

「……。」

「わかったよ…そんな顔するなよ…行くぞ?」

「はい!」


静流さま…狐塚くんのことお気に入りだよね

くぅ~静流さまには勝てないよ〜!

蓮く〜ん…。



学食いつも混んでますね?

そうだな…。

弁当買って花壇行くか?

そうですね!


天気も良いから外で食べるのも悪くない。

「あの蓮くん?」

「ん?」

「もしかして…人参きらいですか?」

「嫌いだな…いや寧ろ敵だ!」


クスッ…。


「敵ですか?」

「あぁ…。」


てかさ…前から思ってたんだけど

九條って彼氏とか好きな人いないのか?


「な、なぜですか?」

「いや、いつもオレにかまってるだろ?」

「はい…。」

「可愛いし…人気あるし…告白とか…。」

「……。」

「あ、ごめん…オレなに言ってんだ…。」

「いません…でも…好きな人は居ます。」

「だよな…だったらオレに…。」


蓮くんは…いますか?

好きな人…!


「今は…居ない…。」


私じゃダメでしょうか…?


「ダメって…何が…?」


蓮…蓮くんのか、か、か、彼女になれますか?


「え…?」


私が…好きなのは蓮くんですから…。


「そうなのか…でも…オレ…。」


知ってます…蓮くんの秘密…。

私は知っていますから…。


「な、なんで…。」


(まさか…いや…誰も…知らないハズだ。)


私の秘密を蓮くんに知っていただきたいのですが聞いて下さいますか?


「うん…。」


私は…今から数百年前に…産まれた者の生まれ変わりなのです…。

その者は…今の私ぐらいの歳で殺されました。


「ちょっと待ってくれ…。」

「話しが…壮大なんだけど…。」


すいません…。

私は…死後数十年家を人を恨み悪霊になろうとしていた時…あなたの祖母夜白様に救われたのです…。

「夜白…って父さんの!?」

「まさか…父さんと一緒に戦ってた静流って」


はい…私でございます…。

最後の戦いで魂が浄化され今の身体に産まれたのです…。


「にわかに信じられないな…。」


蓮さま…。


「いや…オレの婆さんのことも…知っている」


オレは妖狐なんだぞ…?

化け物だって思わないのか?

人間じゃないんだぞ?


人間のフリをして…。

オレは…!!


ぎゅッ…。

静流が優しく抱きしめてくれた…。


大丈夫です…私は…蓮くんの彼女になりたい…。


いいのか?

きっと後悔するぞ…?


しません…するとしたら…蓮くんに告白しないで卒業してしまう時です。


卒業しても高等部だろ。


それは言ってはダメです…。


変わったやつだな…オレのことちゃんと知らないくせに…。


これからもっと知っていきます。

見せて下さい…あなたの優しさも弱さも

私は…蓮くんの全てを知りたいです…。


あのさ…。


はい?


静流…って呼んで良いかな?


はい、ですから最初からそう呼んでくださいと言ってましたよ?


そっか…そうだな…。

 

キーンコーンカーンコーン♪


昼休み終わったな…。

そう…です…ね。

なんか…オレたち熟年カップルみたいな

会話だな…。


クスクス…。

そうですね…。


私が…私であった時が長かったからでしょうか。

でも、間違いなく中等部3年生ですから。

教室に戻りましょう…蓮くん。


オレたちが教室に戻ると…。


「蓮、スッキリした顔してるな?」

「変わらねえよ」

「静流さま蓮くんと付き合うんですか?」

「…ど、どうなんでしょうか…?」

「まだ…お返事いただいていないので…。」


え〜そうなの〜?


あぁ…うるせー…。

付き合う付き合わないはオレと静流の

自由だろ?


狐塚くん…静流さまを“静流”って呼んだ〜!

きゃああ〜。



このあと…2人赤面して無言になったのは…

言うまでもない…。




おーい…先生来てるんだぞ〜。

授業するぞ〜…。










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