EPISODE1 蓮と凛

無事に転入手続きが出来4月から星河学園せいががくえんに通う事になった

蓮と凛・・・。

ふたりには誰にも言えない秘密があった。


蓮は転校生として…。

凛は新入生として学園生活がはじまった。

蓮は3年1組まさかの九條静流くじょうしずると同じクラスになった。

そして凛は1年4組になったのだが

凛のクラス担任が…。


はぁ?未來がクラス担任!?

凛のクラスの?

うん、振り分けでそうなっちゃった。

そうなっちゃったって…臨時教員なのにか?

う~ん…なんでだろうね?

まさか静流さんが裏で手を回したんじゃないだろうな?

でも、未來ちゃんが担任なら安心できるですね!

そうか?


じゃあ二人とも気をつけていくですよ?


「うん…。」

「どうした凛…元気ないぞ?」


なんだ?

具合悪いのか?


「ううん…大丈夫だよ…お父さん。」


そうかそれならいいが…。

蓮、凛を頼んだぞ?


「あぁ…わかってるよ父さん。」

「じゃあ、いってきます。」


おう、いってらっしゃい。

いってらっしゃいです。


「凛、本当に大丈夫なのか?」

「大丈夫だって…お兄ちゃんも心配性だなぁ…。」

「まあ…母さんに似たのかもな…。」


自宅から学園までは15分程度だった。

通学路の途中に九條家があった。


「本当にでっかい屋敷だなぁ…。」

「そうだね、お兄ちゃんのクラスメイトの家なんでしょ?」

「なんか、そうらしいな?」

「あれ…だれかいるよ?」


「狐塚くん、おはようございます。」

「なんだよ…待ち構えてましたみたいな?」

「おはようございます。」

「そんなことはありませんよ?」

「なんにせよ…離れて歩いてくれよ…?」


「なぜですか?」


「あのさ…九條さんオレの転校初日の事忘れたのかよ?」

「あ~…。」

静流は苦笑いをした…。


えっと…狐塚の席は…お、九條の隣空いてるな?

はい。

では、そこに座って。

わかりました…。


(マジか…九條さんの隣かよ…。)

(うらやましい…。)


「オレいきなり敵作るのイヤだからな。」

(自分の人気少しは自覚しろよな…。)

「お兄ちゃん…。」

「いいんだよ…面倒くさいから!」


蓮にそういわれて少し離れて歩く静流は少し寂しそうだった。

(私、狐塚くんに嫌われてるでしょうか…?)


静流さま、おはようございます。

おはようございます。


静流さま…か…。


「じゃ、お兄ちゃん頑張ってね?」

「まあ適当にな…お前も無理すんなよ?」

「うん!」


3年1組の教室…。


おう狐塚おはよう!

おはよ…。

なんだよ朝から元気ないなぁ…。

というか…朝から元気なのがおかしいんだよ…。


あ、静流さま…おはようございます。

おはようございます。


静流が席に着いた・・・。


「狐塚くん…私そんな人気なんかありませんから…。」

「は?あるだろ…。」

「てか、九條さんって…静流さまって呼ばれてるんだな?」

「あ、あれは…皆が勝手に…。」


少し照れくさいのか顔を赤らめていた…。


「そうなんだ…。」

(何だよ…その反応は…。)


「あの…。」

「ん?」

「蓮さまとお呼びしても?」

「ダメ!」

(そ、即答…。)

「じゃあ…蓮くん?」

「あぁ…もう好きに呼べよ…!」


「では、私のことは静流とお呼びください。」

「呼ばね!」


なんだよ狐塚~。

もう静流さまと仲良しなのか?

手が早いな~…。


「そんなんじゃねえよ!」

「はい…。」

「ほら、九條もそう言って…。」

「え?はい?」

(どっちのはい?)

「仲良しの方のハイですよ。」

にこっ…。


いや…そこは否定しろよ!!

なんなんだよ…。

あぁ…面倒くさい…オレに微笑むな…。

オレにそんな資格なんか無い…。


蓮はつまらなそうに頬杖をつき外を見ていた。


いっぽう凛は…。


教室に入れないでいた…。

扉の前で立っていると。


「狐塚さん、おはよう。」

「あ・・・おはようございます…えっと…神谷くん…。」

「名前覚えてくれたんだ?」

「席が隣だから…。」

「そっか、ホームルーム始まるよ?」

「う、うん…。」


(なにあいつ神谷くんと仲良くして…。)

(神谷くんは朱美のものだからね…ムカつく!!)


ガラガラ…。


「はい、席に戻って座って…。」

「日直さんお願いします。」


起立!!礼!!

おはようございます。


「おはようございます。」

「ホームルーム始めますね。」

「来週から学力テストがあります。」


ええええええ…。


「ええ…じゃありません…簡単な学力考査だから大丈夫ですよ?」

「試験範囲は各教科担任が教えてくれるので頑張ってね。」


「狐塚さん…勉強できる方?」

「まあ…それなりに…かな…。」

「そうなんだ?」

「良かったら一緒に勉強しない?」

「え…それは…。」


(ちょっと…なにあれ…。)


「以上です…。」


ザワザワ…。

マジか~いきなり試験とか~…。


クラスの女子2人が凛に声をかけてきた。

斎藤朱美と赤羽美夏…。


「ちょっと…狐塚さんいいかな?」

「え…はい。」

「ちょっとトイレいこ~。」


ドン!!

きゃっ…!?

狐塚あんたさ~あんま調子のんなよ?

「な、なにがですか?」

とぼけんなよ神谷くんに取り入ろうとしてるだろ?

「そんなこと…。」

みてりゃわかんだよ!!

神谷くんと馴れなれしくしないで!

取り敢えず警告ね…わすれんなよ?

「…はい。」

とくん…とくん…。

(ダメ…出てこないで…。)


「朱美神谷のこと好きだもんね?」

「うっさいな…。」


どうして…私は普通にしていたいだけなのに…。




そして…この2人の行動がエスカレートしていく。


試験が終わり数日後…。

「蓮くん、凛ちゃんおはようございます。」

「おはよ」

「おはようございます。」


静流さま…おはようございます。


狐塚兄妹すげーな。

なんだか騒がしい。


「おい、狐塚掲示板見たか?」

「いや?今きたばかりだし…。」

「ちょっと見て来いよ!」


なんだ?

オレ何かやらかしたか?



3学年学年考査順位


1位  狐塚  蓮 498点

2位  九條 静流 496点

3位  秋月  清 490点

        ・

        ・

        ・


1学年学年考査順位


1位  狐塚  凛 493点

2位  神谷 辰哉 492点



秋月のやつ頭良いんだな…。


「それにしても静流さま不動の1位遂に陥落」

「悔しいだろうな〜。」


「だそうだぞ?」

「いえ、私は…寧ろ嬉しいです!」

「あっそ…。」



「狐塚さん凄いね!」

「神谷くん…。」

「たまたまヤマ張ったところが出たから。」

「あはは…狐塚さん冗談言えるんだ?」

「あ…いえ…。」


「なんで神谷くんがあんなのに負けるのよ!」

「カンニングしたんじゃね?」

「あぁ〜席隣だしな。」 

 

(あいつら…。)

「蓮くん…大丈夫。」


オマエら…そんな事言って楽しいか?

狐塚さんはちゃんとノートとって…。

授業終わった図書室で復習やってんだよ!

お前らは授業も聞かないで喋ってばかりだろ!

悔しかったら掲示板に載ってみろ!!


「な、なんだよ…。」

「神谷くんこわ~い。」

「バカらしい…いこいこ」


「神谷くん…ありがとう。」

「本当のことを言っただけだから。」


「ね?大丈夫だったでしょ?」

「あぁ…。」


(くそ…笑うと更に…。)

「狐塚、顔赤いぞ?」

「うるせー照れてない。」


「お?ツンデレか?」

「秋月てめえ…!」

「おっと…怖い怖い。」


ダッ…!

待ちやがれ秋月ー!!


クスッ…あははは!


静流さまが…笑って…?

珍しい…。



オレはこの町で変われるのだろうか…。

もう…開放されても良いのだろうか。

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