聴覚過敏


 生まれつきの疾患で聴覚に過敏がある。いや、生まれつきかどうかは定かではないけれど……、とにかく物心着く頃にはすでに大きな音や過度な賑やかさが苦手だった。

 具体的に何が苦手で何がセーフかを改めて考えてみる。大きく苦手なものは突然鳴る大きな音。例を出すと運動会のピストルや風船の破裂音、雷の轟く音。人の怒鳴る声もかなり厳しい。ドラマを見ることができない。

 反対にうるさくてもセーフな音。ショッピングモールの賑やかさなど、避けられないもの。別段騒いでも怒られない状況ならなんとか耐えることができる。しかし無意識に疲れが溜まり、施設を出る頃にはへとへと、なんてこともある。

 小さな頃は耳に入ってしまうだけで泣いてしまうことが非常に多かった。人の怒鳴り声に関しては、相手の怒りのエネルギーを直接大量に受けてしまうストレスもあったのかもしれない。母校、怒鳴る先生多かったしな……。

 それでもカウンセリングを受けたり、イヤーマフなどの道具を使って負担を減らしながら、こうして今まで生きている。両親はじめ多くの方々にお世話になった。今でも聴覚過敏は克服できていないし、一生付き合っていくものだと受け入れている。これからも穏やかに、静かに、時に賑やかに生きていきたい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る