クワハリ・出内テツオ『ふつうの軽音部』
「ふつうの軽音部」という漫画に今ハマっている。この物語がなぜこんなにも面白いのか、考えてみたい。
①登場人物が魅力的
この物語の主人公は鳩野ちひろである。彼女は陰キャを自称しているが、その実かなりの努力家で、聡い一面を持つ。そのため、物語が引き締まっている印象になる。
さらに、脇を固める登場人物も魅力的だ。特に、策謀を巡らせる高山厘は、ちひろを神と崇めるマキャベリストである。彼女の本質は確かにダークサイドかもしれないが、ちひろを崇拝しているがゆえに結果として善サイドになっている。そこが面白い。
他にも、同じバンド「はーとぶれいく」の桃や彩目といった面々も魅力的な性格をしている。桃は陽キャと見せかけてやはり色々なことに悩んでいるキャラクターで、突然動物が好きという側面も見せたりし、飽きない。彩目はカッコつけというか見栄っ張りなところがありつつも、実はどのメンツより素直なところがある。多面的な性格が見て取れる。そこがこの漫画の面白いところだと感じる。
②ギャグが小気味よい
この漫画は、ギャグ漫画としての側面もある。青春もありつつ、しっかりした笑いのポイントがあり、そのため飽きずに読み進められる。芯を食った笑いというのか。著者のセンスが光っている。
③シリアスもある
青春は光の面だけではない。ダークサイドも確かに存在する。そこを描いてくれているのがありがたい。キラキラだけじゃない青春。リアリティがそこに宿っている。例えば、鷹見の兄のことであったり、彩目が性格のことで悩んだり。桃が友達と不和であったり。ちひろが父のことで暗い気持ちになったり。誰も悪くないのに、そこには悩み、そして暗さが生じる。それは生きるうえで必然のものであり、避けては通れない。そこをちゃんと描いてくれているのがよかった。
まとめ
「ふつうの軽音部」は、多面的な作品である。個々人のキャラクター、事情、ギャグ面とシリアス面、青春、悩み事などが渾然一体となり、物語を牽引する力になっている。素晴らしい作品である。これからも追っていこうと思う。
書評集 はる @mahunna
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