セデュイールブラン

結城 木綿希/アマースティア

プロローグ 夜明け

「チッ……またここかよ。いい加減俺を神隠しで攫おうとするの諦めてくんないかなぁ。こんな強引なやり方じゃ無理なのはそっちも分かってんだ……ろっ!」


"パリンッ"


 今となってはすっかり慣れてしまったこの動作。やり過ぎて余波で周りに被害を出さないようにしっかりと攻撃対象を強度を見極めた上で放たれる最低限の威力の打撃。これを完全に習得するまでは何もない方向に向かって殴って被害を最小限にしてたからな。最小限とは言ってもまぁ……空が消し飛んで夜が剥き出しになってはいたけど。上空の情報の把握が必須で結構めんどくさかったし前よりは気軽に界をぶち抜けていいわ。


「こちとらお前ら化け物共の思惑通りに捕まるつもりも敵対して全員とやり合うつもりもねぇから放っといてくんねぇかなぁ。俺は家に帰ってやることがあんだよ。てか俺に用事あんならそっちから来いよ!俺を呼び出すなよ?わかったな!」

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「相変わらず馬鹿げた力だ。どうしてあれで人間二宮海斗をやれているんだ……あんなものが人とはもはや世界のバグではないか!元はといえば我らの最初の接触が不味かったのだからな。あやつが雑に対応するも仕方あるまい。つくづく彼我の実力差を見抜けず最初に喧嘩を売ったクソ皇tは不敬すぎるか、皇弟陛下とバカ息子には腹が立つ!野心があるのは結構だがアレに喧嘩を売るのだけはないだろうに……。種で判断しすぎなのだあやつらは!バカなのか?あぁ、バカだからこんなことをやらかすのだったな。はぁ……。」


 哀愁を漂わせながら独りごちる少しやつれた男は魔界最大勢力を誇る妖皇国モンストールのNo.2である宰相ドゥジエムだ。文武両道を地で行く男で所謂天才というやつだ。ただ、運がない。才に恵まれ妖皇国のNo.2という地位まで上り詰めてもなお貧乏くじを引かされる男、それが宰相ドゥジエムであった。神は生真面目な彼に貧乏くじを上手く躱す才は与えなかったようだ。


「あやつは。いや、あの方は……今でこそ人の器に収まっているがいずれ役職としての紛い物ではない真の意味での¥$#&Å¥ ?$&?¥∧へと至られるお方。なんとしても共に生きる道を摸索せねば……。」

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