P.6『虚無を釣る』

 いだ水面に釣り糸を垂らしてから、どのくらい経っただろう? 竿さおの先が揺れて水面に波紋が生まれる。


 手ごたえを感じつつ竿を引き上げると、虚無が釣れた。特に落ち込みもせず、また餌を付けて竿を振る。


 魚は釣れなくてもいい。邪魔者のいない場所でゆったりと時間と同化する。そんな時間が好きだから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る