或る青春を謳歌せしものたちへ
夜鳴
ep1:選択と後悔。そして不思議な出会い。
「また、また間違えた。」
付き合って3年の恋人に別れを告げられた時、遠山優太は困惑した。
人生は選択肢の連続というが、あまりにもその選択肢を間違えすぎている。
自分自身で何か決定した選択はいつも悪い方向へ向かってしまう。
選択を決定したときは「これしかない、この選択が最善のものだ」と考えて生活をしていても、最終的には後悔することになる。
「次は何を間違ったんだ…」
帰り道、ぼんやりと考える。
今回は間違っていないはずだ。ただ価値観が合わなかっただけだ。これもまた経験。
過去の自分を振り返る。
あの人にとっての自分はどうあるべきだったのかを考えると途端に自分が小さな存在に感じてしまう。
だめだ。考えれば考えるほど心の中に重い不快感が広がっていく。
そんな気持ちを紛らわせるために煙草に火をつける。
この世界の中で自分が最底辺にいるような気がして、周りを歩く人たちが輝いて見える。目の前を歩いているくたびれたスーツを着たサラリーマンだって、なんだかかっこよく見える。
一方で自分はどうだ。疲れた顔をして煙草を吸って、明日のことも考えられない。
自分の人生経験が浅いからか?世間一般の人々はなんてことない日常を繰り返すことに意味を見出せているのか。なんとなくダラダラと日々を過ごしている自分にとって、恋人が生きる意味だった。
でももうそれも失ってしまった。
二人で過ごす時間は終わりを迎えたが、世の中の時間は終わらない。
帰って、寝て、起きたらまた次の一日が始まる。
さて、これからどうしたものか。
退屈な人生をこれからどう過ごそうか。
誰もいない線路沿いに沿ってフラフラと駅へ向かう。
住宅街に沿って線路が通っているが、この周りの家々は騒音に悩まされないのだろうか。
なんてどうでもいいことを考える。
ふと線路に目を向けると何やら人影が見えた。
「死のうとしているのか...?」
不吉な予感が脳裏に駆け巡る。
ゆっくり人影に向かって歩き出す。気づかれないように。慎重に。
人影に近づいていくと姿がはっきりと見えてきた。
女性だ。女性が踏切の上で立っている。
黒い服装だが、うなじに伸びる髪が女性だと確信づけた。
これはどうしたものか。説得するか...?いや、そんな自信は自分にはない。
ただこのまま見て見ぬふりをするのも気分が悪い。
少し、少しだけ話してみようか。
俺の愚痴にでも付き合ってもらおう。
この選択は自分にとって後悔しないものだろう。
「なあ、なにやってんだ?」
俺は声をかけた。
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